第3話 遭遇しちゃったアリスと橘さん

「修君は何しにきたの?」


 二人休憩所のベンチに座る。


「えっ、えっと今日はちょっと連れに頼まれてここに来たんだよ、付き添い、かな」


「友達ときたんだね、私もそうなんだけどはぐれちゃって。ここの休憩所で待ち合わせになったの」


 まさか偶然とはいえこんなところで橘さんに会えるなんて。今日誰にもチョコもらえなかったけどこれだけでチャラにしてもいい。


 橘さん、なんでもこの高杉の街には元々お城があったのだがその城主の子孫らしく、歴史のある大きな家に住んでいると聞いた事がある。


 頭もよく気が利き、優しい。しかしちょっと抜けているところがクラス男女共に愛されており、僕もファンの一人だ。


「橘さんもスケートとか来るんだね、意外だよ」


「みんな私の事をお嬢さんとかお姫さんとか言うけど家は普通よ、もう」


 ちょっと怒っているけど、そんな素振りも可愛い。


「き、今日みたいな日にた、橘さんに会えて良かったよ」


「今日みたいな日? 今日って何かあったかしら」


「世間ではさ、バレンタインとかいう習慣があるみたいだからさ、橘さんみたいなクラスの女神を拝めただけでもありがたいです」


「そんな言い方はやめてよもう。そうか、今日はバレンタインだったわね、言われてみればみんなソワソワしていた気もするわね」


 僕はついいらぬ事を聞いてしまった。


「橘さんは誰かにあげなかったの?」


 橘さんは照れて少し黙りつつも、口を開く。


「それって好きな人にって事よね、誰にも、あげてないわ」


「そ、そうなんだ、良かった、好きな人はいないんだね」


「チョコは、あげてないけど、好きな人は……」


「えっ?」



その時悪寒し、何やら視線を感じる。


「オサムのやつ、さっきは私にありがとうとか言っておいてあんなに違う女子とデレデレしちゃって! ちょっとアンタ!」


 あ!アリスがなぜだか怒っている雰囲気で戻ってきた!


 てかアリスは橘さんと顔がそっくり!会ったらどうなるんだ!?

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