第2話 アリスとアイススケート
アリスと出かけると言ってもどこに行けばいいのか考え、僕が考えついたのはアイススケート場だった。
「あいたぁ!」
うまく滑れず転ぶ。
「運動もできないなんてアンタ本当にダメね、アリスの滑りを見ててご覧なさい!」
アリスは初めて滑るにも関わらず、人をかき分け優雅に滑っていた。
四回転、はさすがに無理でも三回転ジャンプならなんなくこなす運動神経。僕もあれくらい柔軟なら良かったのに。
僕が先にへばり、一息ついて休憩することにした。
「アリスってなんか食べるの?」
「アリスはチョコだからね、甘いものがいいな。
甘いものを食べると体の成分も甘くなるの」
「チョコ人間ってどんな構造なんだよ、じいちゃん」
「あとね甘くなるのはもう一つあるのよ」
「へぇどうなったら甘くなるの?」
「ときめかせる事よ」
「ときめかせる事?」
「そう、アリスを恋に落とせば心と体がシンクロしてそれはもうほっぺも落ちるほど甘美なチョコに仕上がるの、まぁアンタじゃ無理だろうけど」
「はいはいどうせ僕はダメ人間ですよ」
「ところでアンタなんで滑れないのにスケート選んだの?もっと自分がかっこよく見せれるとこにでも連れてけばいいのに」
「だって君はチョコレートなんだろ?暖かい場所に行くのは嫌かもしれないからここにひたんだよ」
「…………えっ?あ、じゃないへぇ〜あ、アンタにしては気がきくじゃない」
「まぁ僕が女子とこうして遊びに来れただけでもちょっと嬉しかったよ、ありがとう」
「ア、アリスはこの服が特殊冷却装置がついてるから、そんなの平気。それにお礼なんて、馬鹿じゃないの。ちょっ、ちょっと飲み物買ってくる」
「なんだ?なんか慌ててたな」
「あいつ馬鹿じゃないの、アリスのことなんか心配して。……ちょっとあいついい奴だったりして」
「はぁ、今日はなんだかんだ気持ちが沈んでたのに少し元気になったかもしれない。あいつにダァダァ言われてきたけど来て良かった」
「おーい修君〜!」
「帰ってくるの早いなアリス、結局何も買ってこなかったのか?」
「? アリス? 私同じクラスの橘だよ、同じクラスなのにひどいよ〜」
「え? たちばな? 橘さん!?」
なんと偶然にも目の前に妄想じゃない本物の橘さんが現れた!こんな事があるだろうか?
顔はアリスとうり二つなので間違えてしまった。
まさかの橘さんと二人きりの空間がおとずれてしまった。
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