第3話 IQ99
「マジョ・バシル先生の写真に敬礼!」
IQ200以上の天才児、スルガ・バッジスが軍隊式に敬礼した。
IQと偏差は当然違うし、テストの点数も決まりはない。100点満点も200点満点もあれば、10点満点のテストもある。
教育学で偏差とは、そのテストにおける平均点を境にし、平均点レベルを偏差50とし、その偏差に対して優劣があるかであり、偏差が80で、100点満点と言う事もある。
以前IQ84と言う小説があったが、それは100に対する84でも当然ない。
気象魔道……。
負と正の電荷。陰陽の性。女と男。雌と雄。
太極にならない対極は、お互いを正反対の性質として存在し、お互いを別物とて認識出来る筈の存在なのだ。
しかし自分が何であるかを認識出来ない存在は、ヴァンパイアのように鏡を見ない。
自分を物差しに出来ない存在の認識力は、はるかに低いと言わざるを得ない。
自分が基準でない存在が相手を測る物差しは、何であるのか?
男が男として認識出来ず、女が女として認識出来ない存在。
自分が男であるのに、女の振りをするような存在の周波数が異質に感じるのは誰でも同じだ。
陰が陽を隠す時、偶数が奇数よりベクトル数が上になる。
6の六芒星が5の五芒星を隠す時、6-5=1となり、4が3を孕む時、4-3=1となる。陰陽の
マジョ・バシルの言葉を復唱するスルガ・バッジスは、担任教師がいない間、級長として皆を訓導していた。
マッジスの顔をマジマジ見ている生徒……。
流麗な黒髪の美男子であるスルガ・バッジスに憧れる生徒は多い。彼は美男子であるにも関わらず、多くの女性に手を出さない。
嘗て旧世紀キリスト教の創始者とされるイエス・キリストは、ハーレムを作らせない事で王国を救おうとした。
王のハーレム欲しさに男たちが王に反逆するのを防ぐ為だ。
王のハーレムは無い。
この時代にも王は一夫一婦制を守った事で王政を敷いていた。
イギリスでも日本でも立憲君主制度を敷く事が出来たのは、民意に基づく王政への支持を憲法で定めたからだ。
大統領制度を敷こうとする共和制度の直接民主制度と日本の間接民主制度は違う。
市区町村の
この王国でも……。
バッジスが美男子であるにも関わらず、女生徒との交友が激しくない事は、彼が同性愛と言う事でなく、彼が気象魔道士として妻帯出来ない存在に長になるべく、薫育されているからであった。
王国を牛耳る存在はヴァンパイアの如く、鏡を嫌い、この世から鏡を消そうとしていた。
気象魔道にとって降雨の儀式に使う硝化銀。
銀を使う鏡。
日本の王権のレガリアの一つであった八咫鏡。鏡は自分を知る基準であり、美醜の物差しなのだ。
王が、女王が、自分より美しい存在を消そうとしたら、その国は終わりだ。
スルガ・バッジスが救われたのは、女王がこの国の王位についていたからであって、もし男の王が立った時、彼の命は危なかったろう。
しかし、それは女王がオンナであって、オトコではなかった事を前提にしたハナシなのだ……。
第3話 了
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