第14章 始祖の再臨
Prologue 事件の幕開け
四大魔導士。
四大魔導士とは、この世界に魔法の知識と術を与え、新人類・魔導士を生み出した四人の魔導士のことだ。
性別も年齢も地位も環境も異なっていたが、魔法の神秘に触れ、言葉を交わし、知恵を振り絞り合った彼女らは、互いを生涯で「盟友」と呼ぶべき存在と定め、世界を繁栄に導くための道を築き、後世に残る偉業を残した。
【起源の魔導士】アリナ・エレクトゥルは、魔法を生み出した超常的存在〝神〟自ら魔法を教わり、後世まで残る魔法の実現を為し得た。
【記述の魔導士】ベネディクト・エレクトゥルムは、アリナの実兄であり、二番目に魔法に触れ、『魔法』という名の知識を後世まで残した。
【定命の魔導士】ローゼン・アルマンディンは、後のイングランド王国国王になるも魔法を使役する新人類・魔導士を調べ、『
【創作の魔導士】クロウ・カランブルクは、貧民街上がりの公爵令息兼ローゼンの従者となり、後世に軍事だけでなく家庭にまで普及した魔導具の基盤となる製法を編み出した。
この四人に与えられた二つ名は、各々の偉業を示す証明となり、彼女らが成し遂げた偉業は後世においても一部を除き残され、人類は当初はない魔法や魔導具を生み出し続け、現代ではその力を以て世界を発展し続けている。
されど、彼女らの偉業関係なく魔導士を『化け物』と同列し、忌避する者が現れるのは自然の摂理だ。
誰しも、自分とは違う力を持つ者がいると恐怖を抱く。
時の流れと共に恐怖が嫌悪に変わり、異なる者を排除しようと目論み、その影響が波の如く広まっていく。
後に『差別派』と呼ばれる者達は、【魔導士黎明期】から数百年の間、組織の姿や名前を変えながらも生き残り続け、今もなお魔導士を差別し迫害し続けた。
それとは逆に、四大魔導士を魔導士の始祖として崇め奉る宗教も生まれた。
始祖信仰。
当初は四大魔導士の偉業を忘れず、この世界の繁栄に導いた彼女らの感謝と尊敬を忘れないための小さな集団は、時代と共に一宗教として成長し、後に派閥が誕生した。
昔と変わらず四大魔導士を〝主〟とした『伝統派』
四大魔導士ではなく新たな〝主〟を生み出し崇拝する『新主派』
四大魔導士だけでなく〝神〟さえも否定する『非信仰派』
『非信仰派』は先の『叛逆の礼拝』にて壊滅状態になり、蓄えていた力をほぼ消失。
『伝統派』と『新主派』の力はさらに強まるも、『伝統派』はこれまで通り四大魔導士への感謝と尊敬の念を忘れず礼拝し続けた。
しかし、日本での増加した魔導犯罪と『差別派』の活性化に伴い、『新主派』はついに新たな〝主〟を生み出した。
新生四大魔導士。
四大魔導士に代わる新たな四大魔導士は、日本時刻一月六日午前九時ちょうどに日本を魔導士のための魔導国家に生まれ変わらせることを世界各国に発信。
選民主義・血統主義の魔導士は、この〝宣言〟を機に勢力増大を急速化。
『差別派』だけでなく一般市民に対して魔導士への絶対服従を強要し、問題視した国際魔導士連盟日本支部および七色家は『新主派』の布教活動およびデモの鎮圧を決定する。
さらに秘密裏で『新主派』および新生四大魔導士の打倒作戦を計画。
メンバーとして最適と選ばれた七色家次期当主六名と聖天学園側からの有志による作戦決行を決定。
後に『新主打倒事件』と歴史に名を残す事件へと発展することになることを今は誰も知らなかった――――。
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