第9章 強欲の略奪のスイートワンダーランド

Prologue スイートワンダーランドへようこそ!

 ――音楽が聴こえる。


 有名な一流オーケストラが如く華麗で美しい旋律が。


 ――歌が聴こえる。


 オペラのように高音と低温を上手く使い分けた、喝采を送られる素晴らしい歌声が。


 その音楽と歌が聴こえる場所は、なんとも摩訶不思議な世界。

 子供の夢を詰め込んだような場所。

 顔がある無機物達が自由に動き、ファンシーな生き物達が蕩けるような歌声を披露する。



 ようこそ 可愛らしいお客さん! スイートワンダーランドへようこそ!

 ここは誰もが夢見た甘いお菓子の不思議の国♪ 嫌な現実と時間を切り離した素晴らしい世界!


 木は甘くて苦いチョコレート 花と草は舌触りがいいキャンディー

 川は甘さホイップクリーム 土はふわふわなスポンジ フルーツはなんと食べ放題!


 どんなに食べても叱る人はいなーい! 口うるさいお母さんも怒鳴るだけのお父さんもいなーい!

 なんと素晴らしい世界! 誰もが一度は夢見た理想の国!


 さあさあ 今日も始まるよ! ハートの女王のお茶会が!

 お茶会は絶対参加! 不参加する子には死を!!

 ああ 今日もお茶会が真っ赤に染まっちゃった!


 これは誰かの血? それともイチゴジャム?

 いいや 構いやしないさ! 女王が楽しければそれですべてオッケー♪

 誰が死のうが 知ったこっちゃない♪


 帽子屋と 三月ウサギは 紅茶を片手にケタケタ♪

 白ウサギと ハートの騎士は ケーキをむしゃむしゃ♪

 眠りネズミと チェシャ猫は 白い薔薇を血でペタペタ♪

 ドードー鳥は 今日も高らかにパッパラパー!


 ここはスイートワンダーランド! ハートの女王が支配する異世界!

 ここに入ったが最後 誰もが生きては帰れない♪

 強欲と略奪に満ちた 甘いお菓子の不思議の国♪



 さあて 次のお客さんは一体誰でしょう……?

 それはその時までのお楽しみさ♪

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