第4話 俺が守るよなんてね

 俺、鈴木和也と幼馴染のリスは占い屋の婆さんの計らいで異世界へと飛ばされることになった。

 俺たちはあの婆さんの言葉を妄言だと思っていたのだが、婆さんの言ったことは事実だったようで、俺とリスは広大な草原に転移させられた。


 もちろん俺とリスは飛ばされた時はものすごく驚いたわけで、でも今はこの出来事が現実と受け止めた俺とリスの反応は両者異なったものだった。


「うわわぁぁあぁん。カズヤぁ。私たちもう元の世界に帰れないのぉお」


 異世界に飛ばされて慌てふためくリス。

 対して俺は


「うおぉぉぉぉ! まじかよー! 来ちゃったよ! 異世界!」


 いつも俺はハプニングを避けて生きてきたのだが、そんな俺でもこんな状況は興奮せざるを得ない。

 

 異世界人っていうのはたいていチートのような固有能力を持っていたりとかなり優遇されるものだときく。


 そして、異世界にはやっぱり可愛い獣人たち。エルフやドワーフといったファンタジーキャラ。

 旅をしながら仲間を集めて、災厄をもたらす魔王を討つといった感じに物語が進んでいく。


 だが、しかし、俺はそんな面倒ごとには一切突っ込みたくはない。

 だって面倒なんだもん……


 俺は今は正体がわからないが、持っているであろう固有のチート能力を駆使して、この世界ではスローライフをしたい。

 のんびりと優雅に気ままな生活。

 面倒ごとが何もない異世界ライフ。


 まぁ、元の世界に帰れる方法も確かめる方法もいちよ知っておきたいなぁ。


 あぁ。それにしても胸がワクワクするなぁ。

 やっぱり男はエッチなこととこういう空想的なことが好きなのであるが、俺もやっぱり男だったんだな。


 あはははは。あはははは。

 なんだか異世界転移は人を変えてしまうようだ。

 あんだけ気だるげだった俺もここに来た途端やる気が出てきたよ。


 興奮を極める俺の横でまだワンワンと泣いているリス。


 まぁこいつの反応も女の子としては正しいものだ。


 ここは定番通り幼馴染のオ・レが手を差し伸べなければな……


「梨沙! 心配するな! 俺がお前を絶対に守ってやる! だから俺についてこい!」


 幼馴染のリスは俺の言葉を聞いて驚いた顔をこちらに向けてきた。

 先程まで涙に濡らしていた顔を袖口で拭き取って、

 こちらの方を見つめていた。


 と、リスの口から

 

「あんた誰よ!? 私の知ってるカズヤはこんな気持ち悪いこと言わないんだけど……あんたカズヤなの?」


 なにこの子すごく辛辣。

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