第169話4.32 ドラゴン対策
朝食後、ヨリミツお義父さんから、
コハクが、「そんな
外に出て白龍に戻ろうとするのを重力魔法で抑えつけ、
「俺も手伝うから今は待って」
とか
「コハクがやると街に損害が出るから」
とか上げたり下げたり説得して、何とか落ち着かせたのがついさっきのことだ。
ちなみに、ヨリミツお義父さん達には、コハクが白龍である事は言っていない。
今言っても混乱するだけなので、もっと落ち着いてからカリン先生から伝えてもらう事にしている。
「はぁー、それでは、さっきの続きで
コハクの暴走で少し疲れた俺だが、気を取り直して話を進める。
先ずは、予想される魔物の数だ。前回ドラゴンが呼んだのは、グレートビーとジャイアントウルフ合わせて100匹ほど。ほとんど討伐されずに
敗走したらしいので、今回も同数がくる事を想定した。
「傭兵達では、グレートビーとジャイアントウルフの相手は厳しいですか?」
俺は、ミツナガさんに話を振る。
「そうですねぇ。それぞれ一匹ずつなら『銅』ランクぐらいのパーティーで対応できますけど。数が多いと直ぐに殺されてしまうでしょうね」
「分かりました。それなら傭兵達は、後方で俺達が討ち漏らした魔物の相手をするようにして下さい。それから、お義父さん達はどうしますか?」
「もちろん、某も戦うぞ。娘が街のために戦うのだ。後ろで見ている訳にはいかん。某とミツナガ、ツグミツなら、グレートビーやジャイアントウルフに1対1でも遅れは取らんのでな」
俺の問いに力強く答えるミツヨリお義父さん。結構強いようだ。
「分かりました。それなら、お三方には、グレートビーやジャイアントウルフの討伐をお願いしましょう。ちなみに、それぞれ得物を教えて貰えますか?」
「うむ、某は大太刀で、いわゆる重戦士に近い戦い方をする。対して、ツグミツは小太刀が得意で撹乱戦術が得意だ。そして、ミツナガは、属性魔法と回復魔法で我々の支援だな」
なるほど。ミツヨリお義父さんが盾役、ツグミツさんがアタッカー、そして、ミツナガさんが後方支援か。バランスの取れたパーティーだな。
「ありがとうございます。それでしたら、お三方には、アズキとカリン先生を守ってもらいます。アズキは弓で、カリン先生は魔法で魔物を狩って貰いますので、そこに魔物を近寄らせないようにして下さい。アズキとカリン先生もそれでお願いしますね。あ、ルリもそっちの班でよろしく」
「「はい」」
「にゃ!」
2人は大きく肯いて返事をしてくれた。
これで、グレートビーやジャイアントウルフは大丈夫だろう。
機動性の高い魔物だが、アズキの魔法を乗せた矢と、カリン先生の魔素量に物を言わせた連続魔法があれば敵ではないはずだ。
「それから次は、ドラゴンだな。いつものように俺が重力魔法で動きを抑えるから、シンゴ王子、取り付いて気を引いてくれ。その間に、ツバメ師匠と俺で攻撃を仕掛ける。どれだけ硬いか分からないから、方法は臨機応変で。良いですか? ツバメ師匠。それとも先に『ドラゴンごろし』渡しましょうか?」
「うーん、やめておこう。あれに頼ると腕が鈍る。出来るならこの愛刀でドラゴンを切りたい。
自分の愛刀を握り締めて不敵に笑うツバメ師匠。
いつもの甘えてくる感じは消えて完全に戦闘モードのようだ。
ちょっと怖い。
シンゴ王子も異存はないようだ。肯いている。
「トモマサ君ー、私はー?」
俺がドラゴンへの攻撃方法を考えていると横から声がした。
コハクだ。
「あー、コハクか。忘れてたよ。コハクは、その格好の時、何が出来る?」
「うーんー、殴るー?」
俺の質問に間延びした声で返事が帰ってきた。どうやら人型の時は、ブレスが吐けないようだ。
まぁ、あの小さく可愛い口からドラゴンのブレスが出てくると思うと怖くてキス出来なくなりそうだから、それで良いのだけど。
「何か使いたい武器とか無いのか?」
「わからなーいー」
またまた、間延びした声で返事が返ってくる。
しかし、困ったな。
コハクは龍人族だからか魔法も使えないようだし、本当に殴るしかないのだろうか? しかし、白髪の美女が魔物を素手で殴る。
かなりシュールな感じになりそうだな。
仕方がない、時間もあるようだし、シンカイさんにでも相談してみるか。一応防具も必要だろうし。
「コハク、分かったよ。この後、武器屋にちょっと見繕いに行こう。あ、ついでにお義父さん達も装備を見繕いに行きましょう。イクノの街にシンカイさんと言う腕の良い鍛冶屋さんがいるんですよ」
「シンカイ! それってもしかして、刀工のイノウエ シンカイの事か? 王国一と噂の」
俺の言葉に驚いているのは、ヨリミツお義父さんだ。
「そうですよ。王国一かは知りませんけどね。でも、元々シンゴ王子の鎧を作ってたぐらいだし名工なのは確かなのでしょうね」
「王族が使うとなるとやはり王国一と言っても過言では無いな。そんな良い装備、我々にはとても買えん」
そう言って俯いてしまったヨリミツお義父さん。何かと思ったら金の心配だった。
「えっとー、プレゼントには、高過ぎますかね? それなら、……結納の品とかにしましょうか?」
「と、トモマサ君!?」
俺の言葉に突っ込みを入れてきたのは、カリン先生だ。見ると顔が真っ赤だ。
そんなカリン先生に「ダメですかね?」と聞いて見る。
「い、いや、ダメでは無いですけど。その心の準備が……」
そう言って、今度はカリン先生が俯いてしまった。
恥ずかしくなったらしい。そもそも王都などで、婚約者だと言ってきたのだから今更だと思うのだけど。
「お義父さんは、如何ですか?結納の品が武器や防具なんてのも筋違いな気もしますけど」
「いや、しかし、トモマサ君。本当に良いのかい? カリンと結婚しても」
困惑気味に話をするミツヨリお義父さん。その話は装備の話ではなく、結婚の話だった。
あれ昨日、ちゃんと申し込んだつもりだったのに何で? と思っているとミツヨリお義父さんが教えてくれた。
「いや、昨日、確かに結婚前提のお付き合いだと聞いた。だが、今の所はあくまで結婚
なるほど。前提なら断る事もあると言う事か。
「お義父さん。分かりました。それなら、改めてお願いします。お嬢さんのカリンさんと結婚させてください」
俺は、伏してお願いする。
「分かった。許す」
その言葉で、俺とカリン先生の結婚が決まった。とは言っても、一応まだ未成年なので、先の話だけど。
その後、俺はコハクとヨリミツお義父さん達を連れて、イクノの街へと転移した。残りの面々は、スワの町で狩をするために残った。きっと大量の魔物を始末している事だろう。
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