第141話4.4 再会2
時刻は5時を回っているが、夏の日暮れは遅い。
風が出て少し涼しくなってきた道を一人歩き、マリ教授の研究室へと辿り着いた。
「定時を回ってるな。マリ教授、まだいると良いんだけど」
そう言いながら、ドアをノックする。
「マリ教授いますかー」
俺が声をかけると何だか人の気配はする。
だが、返事は無い。
念のため追跡魔法で確認すると確かにマリ教授はいるようだった。
ただ、動く気配がない。
「マリ教授ー!」
再度声を掛けるがやはり返事はなく、待ってる間に心配になってきた。
どうしたんだ? いつもならすぐにドアを開けてくれるのに。
もしかして、何か病気か⁉ 急に心配になり、俺は慌ててノブをひねる。
すると抵抗なく開く扉。鍵はかかってないなかった。
そして開いた扉から見えてきたのは、机に突っ伏しているマリ教授だった。
もしかして、意識がないのか?
「マリ教授!」
名前を呼びつつ、慌てて駆け寄り、顔を覗き込む。
当のマリ教授はというと、どうやら息はしているようだった。
その後、体を確認していくが――怪我をしている様子はない。
ならなぜ意識が、と訝しがっているとと、マリ教授から声が聞こえてきた。
「トモマサ君〜、私を捨てないでくれ。私を置いて死なないでくれ〜」
訳の分からない言葉だった。
「ふぇ? 俺が死ぬ?」
思わず変な声が出る俺。
何言ってるんだこの人? と首を傾げていると気付いた。
机の上のコップからアルコールの匂いが漂ってるのを。
ついでに吐息の匂いも嗅いでみる。
すると、やっぱり酒臭かった。
ただの酔っ払いのようだった。
「はぁーーーーー」
長い溜息が出る。
そして、いくら夏休みだからって、こんな時間から酔い潰れているなんて教授として大丈夫なのか心配になる。
「とりあえず、起こすか」
そう決めて、名前を呼びながら体を揺する。
「マリ教授ー!」
「マリ教授ーー!」
「マリ教授ーーー!」
何度も呼びかけてようやく薄っすらと目を開けるマリ教授。
目が濁っている。
「トモマサ君の幻がいる。死んでお別れを言いにきたのかい? 私を置いて行ってしまうのかい?」
ダメだ、まだ酔っているようだ。
俺はマリ教授の体に回復魔法をかける。
「マリ教授ー。俺は本物ですよー。生きてますよー」
段々と酒が抜けてきたのだろう目に光が戻ってくると、突然、抱きついてきた。
泣いているようだ。
「トモマサ君‼ 生きて、生きていたんだね! 良かった。本当に良かった」
言いながら抱いている手に力を入れるマリ教授。
俺は、マリ教授、本当に死んだと思っていた⁉ 何でだ? そんな情報、一切流れてないはずなんだけど? と首をひねる。
すると。
「トモマサ君、ゴメンね。びっくりしただろう? 実はな、夢で見たんだ。ドラゴンのブレスで焼かれてしまう夢を。それがな、あまりに生々しくて、怖くなってしまったんだ。そんな事、無いのにな。ただ、街巡りに行っただけのトモマサ君がドラゴンと戦うことなんてないのにな」
ポツポツと話すマリ教授。
その話に俺の顔は、引きつっていた。
何て、リアルな夢なんだ。まるで見てきたかのような。
マリ教授、何らかの能力に目覚めてるんじゃないのか、と思うほどだった。
「マリ教授、俺は、大丈夫ですよ。五体満足です。マリ教授を置いていくような事は、無いですから。安心して下さい」
俺の言葉に反応するかのように、力強く抱きしめて来るマリ教授。
20歳過ぎてるのに、さっきのツバメ師匠と同じだなと思って頭を撫でてあげると涙は止まったようだ。
それでもマリ教授の気がすむまで、頭を撫でてあげる。
10分ぐらいしただろうか。マリ教授が、抱きついていた手を離した。
「もう大丈夫だ。ありがとう。すまんな。良い大人が、恥ずかしいところを見せた」
「いえいえ、俺から見たらマリ教もツバメ師匠も同じですよ。どっちもまだまだ若い娘ですから」
俺の言葉に、若干顔を赤らめるマリ教授。
ツバメ師匠と同じと言われて怒るかと思ったけど、若いと言われた方が嬉しかったようだ。
「そうだったな。見た目で忘れてしまうが、トモマサ君は、40歳過ぎてるんだったな。うんうん、それなら、もっと甘えても大丈夫か」
「ええ、どんどん甘えて下さい。残念ながら、他にも彼女がいるのでマリ教授だけとはいきませんけどね」
「いや、それは問題無い。むしろ皆がいるお陰で、私も助かっている。トモマサ君の精力は、とても私1人では受け止められないので……」
どういう事? 俺って絶倫だと思われてるって事? これは間違いを正さねばと口を開く。
「違いますよ。マリ教授。俺は、ただ、皆を満足させるために頑張ってるだけですよ。回復魔法まで使って。気持ちいいのは確かですけど……」
俺の言葉に今まで甘々だったマリ教授が、驚愕の表情を浮かべている。
「……今、なんて言った」
「え、ですから、皆を満足させるために「いやそこでは無い」」
「回復魔法を使って、頑張ってるって」
「回復魔法で精力が回復するのか?」
驚愕の表情のまま、マリ教授が確認してくる。
「しないんですか? 俺が使った時は、普通に回復しますけど?」
「ふ、ふ、ふ、は、ははは、はははははぁ、あーははははっはぁーーー」
突然笑い出すマリ教授。
――何だ? 壊れた?
「回復魔法で、精力が回復か。相変わらず、トモマサ君は驚かせてくれる」
話を聞いていくと、どうやら普通の回復魔法では回復しないらしい。
「それなら、どうやって精力回復してるんですか?」
「精力剤だな。マムシドリンクとかか? それでも、そんな即座に聞くことはないがな」
なんで、魔法のある世界なのにそこだけ、21世紀レベルなんだよ。
俺は心の中で盛大に突っ込む。
「トモマサ君、その魔法見せてくれないか?」
「今ですか? 今は、別に精力回復する必要ないので、使っても……」
「それじゃ、先ずは、トモマサ君の精力をいただくとしよう」
俺の答えを聞いたマリ教授が、涙顔から一変、妖艶な笑みを浮かべて迫ってくる。
「いや、ここ研究室ですよ。誰か来るかもしれませんよ?」
「心配無い。夏休みだ。他の先生方も外の調査に出たりして殆んどいない。大丈夫だ。すぐに終わる。トモマサ君は、寝てるだけで良いんだ」
そう言いながら、ソファーに押し倒された。
そして、覆いかぶさってズボンを脱がせてくるマリ教授。
メガネ美人の先生に襲われる。
どこのエロ動画シチュエーションだよ‼ と思ってるうちに終わってました。
いつもと違い積極的なマリ教授とエロシチュエーションにかなり興奮したようだ。
少し、Mの扉を開いてしまったかもしれない。
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