第100話2.38 閑話 トモマサ君の質問コーナー(カリン先生編)
6月終わりのとある週末、仕事終えて泊りに来たカリン先生と食後のまったり時間を楽しんでいる時の会話である。
「カリン先生、今週もお疲れ様でした。今週も忙しかったようですし、ゆっくりしてって下さい」
そうカリン先生、何やら期末テストの準備で忙しいようで、今週は今日が初めてのお泊りなのである。
普通なら週3は来ているはずなのに。
「そうね。明日は休みだし、少しゆっくりさせて貰おうかしら。でも、あんまりだらけるとアズキさんに悪い気がするんだけど」
ちょうど、お茶の準備をして来たアズキの顔を見ながら話をするカリン先生。
「いえ、カリン先生はゆっくり休んで下さい。私もあとお風呂の準備をしたら終わりですから」
「そう、いつもありがとうね。アズキさん。でも、明日の朝ごはんは手伝わせてね」
「はい、分かりました。よろしくお願いします」
本当に疲れているのだろうカリン先生、いつもならなんだかんだ言いながら手伝いに行くのに今日ばかりはアズキの言葉に甘えるようだ。
俺とカリン先生、ゆっくりと並びお茶を飲んでいる。
ふと俺が、横を見るとカリン先生も俺の方を見ていた。
二人の目が合う。
付き合い始めて、はや数ヶ月、風呂の中やベッドの中で幾度となく裸の付き合いをして来ているにも関わらず、目が合うだけでなんだか気恥ずかしい。
まるで中学生のように。
思わず目を逸らしてしまう。
「ふふふ、トモマサ君って意外と恥ずかしがり屋ですね」
「えー、そうですか? 誰だって、カリン先生のその綺麗な目に見つめられたら気恥ずかしくもなりますよ?」
黒と真紅のオッドアイ。
21世紀では、ありえないほど鮮やかな色を持つカリン先生の目に見つめられて恥ずかしくならない男などいない……と思う。
現に俺には耐えられない。
「このオッドアイが綺麗ですか? 初めて言われました。嬉しいです。というより、今までこの目には、全く触れませんでしたよね。どうしてですか?」
途中まで顔を赤らめていたカリン先生、急に真面目になって聞いてくる。
「え、あまり親しくない人にそんな特徴聞くの失礼ではないですか。それに、
「なるほど、そういう事だったのですね。いい機会です。この目について、少し話しておきましょう。もう知ってる話かもしれませんがね」
31世紀では、原因は不明だが100万人に1人程度の確率で産まれる、先天的に魔素量の多い人間に現れる特徴となっている。
そもそも魔法を発見した帰狭者がオッドアイであったらしく、オッドアイ=優秀な魔法使い的な構図が出来上がったそうだ。
そのためオッドアイを持って産まれた人は魔素量の増大を望む貴族などから、男なら美人局に引っかかり性奴隷、女なら洗脳させられ子どもを生まされる等の標的として狙われるらしい。
色々と標的にされるオッドアイであるが、家族の中に1人でもいると優秀な魔法使いとして重宝され、婚姻によって貴族の仲間入りを果たしたり、過去には大きな成果を出し独力で貴族にまで上り詰めた人物もいるほどであるそうだ。
カリン先生の実家であるスワ家では、何故か数代1人程度オッドアイを持つ子が産まれるらしく、そのおかげかスワの町は大きく発展していたらしい。
魔物に襲われて没落したけど。
おかげでカリン先生も多くの貴族から婚姻の申し出があり困っていたらしい。
「婚姻を申し込んでくる貴族なんて魔素目当てなのが見え見えでとても好きになれそうな人はいなかったわ。父さんや母さんの所にも街の立て直しに資金援助するからとかなりの数の誘いがあったみたいだけど、全部断ってくれたわ。『カリン、貴女の好きな人と一緒になりなさい』って言ってね。トモマサ君と出会えたのも父さんと母さんのおかげなの。だから、ちゃんと大事にしてね」
「もちろんです。カリン先生の両親なら自分の両親だと思って接しますよ」
「嬉しいです」
「しかしスワ家でそれだけオッドアイが生まれるなら、オッドアイは遺伝ではないのですか?」
「分からないわ。他の家でオッドアイが続いたという記録は残ってないので。遺伝かどうか確かめたいなら、私がたくさん子供を産めば分かるかもね。トモマサ君」
少し甘えた声で体を預けてくるカリン先生。
もう子供が欲しいのだろうか? それともナニがしたいだけなのだろうか? このまま押し倒して何したくなるのだが、まだ少し時間が早い。
俺は大人の自制心を持って少し話題を変える事にした。
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