第97話2.35 期末テスト2

「テストお疲れ様でした」

「「「「お疲れ様」」」」

 1週間ほど続いたテスト期間は終了し、今日はテスト終了の打ち上げだ。

 アズキお勧めのレストランに来ている。

 参加者は俺の彼女たちに加えてシンゴ王子とカーチャ王女である。

 本当はタケオとヤタロウも誘ったのだが面子を聞いて尻込みしたようだ。

 シンゴ王子とカーチャ王女の2人は敷居が高かったらしい。


「トモマサ君、単位落とさずにすんで良かったですね。教えた甲斐があると言うものです。ツバメさんも成績はともかく、単位は取れたようですし、これで、夏休みは予定通り出かけられそうです」

 カリン先生が俺たちの成績の総括をしてくれている。

 危なかったのは俺とツバメ師匠の2人だけだったようだ。

 本当にこの2週間ほどは大変だった。

 カリン先生を筆頭にマリ教授、アズキさらにはカーチャ王女まで含めたメンツで貴族マナーとダンスの練習をさせられたからだ。

 上級コースを受けているカーチャ王女はまだしも同じ授業を受けているアズキも教える側なのかと思ったが、全く問題なかったようだ。

 本当なら飛び級できるところなのを俺と共にいる為にワザと残ったらしい。

 俺は他の授業で飛び級しているのだからアズキもすれば良いのにと思うのだが……困ったものだ。

 

 そんな事を考えてると、いつの間にか話題は夏休みに移っていた。

「トモマサ君は、夏休みも研究三昧かい?」

「いや、それもちょっと考えたんだけど、せっかくの長い休みだから長旅に出ることにしたんだ。街がどう変わったか見て回りたくてね。シンゴ王子こそ、王城で王様の手伝いかい?」

 俺の返しの質問にシンゴ王子、

「確かに仕事はあるんだけど……」

 などと言いながら考え込んでしまった。


 いつもと違い歯切れ悪く考え込むシンゴ王子を見ながら皿に並ぶ料理に舌鼓を打ってるとツバメ師匠が話し掛けてきた。

「トモマサよ。行きたい所は決まったか? オオエの町も良いぞ。私の家族もいるし、寄ってみないか?」

 ツバメ師匠、どうやら俺に家族を紹介したいらしい。

 彼女の実家に遊びに行くなんて難易度の高いイベントだ。

「オオエの町は比較的近いですし、夏休みの旅から早く帰って来れたら行きましょうか」

「うむ、そうだな。そうしよう」

 ほんのりと後回しにして見たのだが、ツバメ師匠的には問題ないようだった。

 セーフである。


「それを言うなら、トモマサ君、私の両親にも1度会ってもらって良いかな? 両親もイチジマの街に住んでて、すぐ会えるから」

 今度はマリ教授である。

「え! ええ、構いませんよ」

「本当か! 会ってくれるのか! 嬉しいぞ。前の男は、のらりくらりと言い訳ばかりして全く会ってくれなかったからな。その辺でも騙されていたんだな」

 また前の男を思い出してマリ教授が暗い顔している。

 そのマリ教授を俺は、平然とした顔で見てはいるのだが、内心は、出来れば先延ばししたい、と祈っていた。

 だが、そんな事言えるはずもない。教授は立ち直れないぐらい凹んでしまいそうだから。

 仕方ない、ここは腹をくくるか。と決意して口を開いた。


「会う日程は、お任せします。でも来週から長旅に出るので今週か、夏休み明け以降かでお願いします」

「分かった。明日にでも聞いてこよう」

 21世紀ならここで携帯ですぐに連絡がつくのだが、現代31世紀ではそうは行かない。

 少なくとも数日は余裕があるようだ。

 有難い。

 話が進んだ事に浮かれながら酒を飲むマリ教授。

 また潰れなければ良いのだけど。


 そんな話をしながら打ち上げを終えた。


 その夜、皆を送った後、泊まりに来ていたカリン先生とソファーで寛いでいた。

「いつか私の両親にも会ってくださいね」

「もちろんですよ」

 アズキが、お茶の準備をしている合間にカリン先生がそっとお願いして来たので優しく肩を抱きながら返事をする。

 どうやらカリン先生、アズキの気持ちを慮って打ち上げの席では黙っていたようだ。

 両親を処刑されてしまったアズキの前で皆が両親の話をするのは辛いだろうと思って。

 あまりの可愛さにカリン先生を抱きしめている所にアズキも来たのでアズキも一緒に抱きしめてあげる。


「トモマサ様、カリン先生、ありがとうございます。お二人が皆さんがいれば私は大丈夫です」

 突然の事に少し戸惑っていたアズキだったが、何か思い当たったのか、そう言って体を預けて来た。

 カリン先生と2人でアズキの耳や尻尾を撫でてやると、アズキも気持ち良いのか甘い声が出て来ていた。

 そんなイチャイチャする3人、その3人の間に割り込んで来るものがあった。

 ルリである。「にゃにゃにゃー」と鳴いて割り込んで来る。

 どうやら、「私も撫でて〜」と言っているようである。

 ルリは皆が抱き合ってる所に割り込むと自分も撫でて貰えるとしっかり学習してるようだった。


 3人の目が合い、クスリと笑ってから皆でルリを撫でてやる。

 ルリの口から「ふにゃ〜〜〜」と気の抜けた声が出る。とても気持ち良さそうだ。

 その日は、ルリが飽きるまで撫でてやった。

 最近、魔導車開発やテストであまり相手してあげられなかったので。


 ん? その後どうしたかって? もちろん3人で風呂に入って3人で寝たよ。

 アズキとカリン先生がすっかり仲良くなって2人でユリユリしてるものだから、俺は大興奮して何度もナニしてから。

 おかげで、また魔素量が増えてしまった。

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