第85話2.23 領主会議3

 発表の後、寮に帰った俺は3人に土下座して謝った。

 ほんの冗談から話が進んでしまったと。

「トモマサ君、よかったじゃない。マリ教授なら優秀な魔法使いだし、大歓迎よ」

「そうだぞ、トモマサ、マリ教授の授業は分かり易くて良い先生だと思うぞ」

「トモマサ様、私はトモマサ様を信じています。トモマサ様の選んだ相手に異存はございません」

 カリン先生、ツバメ師匠、アズキと3人とも俺の、しでかしたことに文句は無いようだった。

 胸を、なでおろした俺、改めてマリ教授を部屋に呼んだ。

 

 すると直ぐに現れるマリ教授。

 実は隣の部屋で待機してもらっていたのだ。

 そして。

「クリ マリだ。既に皆知っていると思うが、魔法学園の教授で遺失魔法の研究をしている。よろしく頼む」

 軽く自己紹介するマリ教授。

 その後、皆も自己紹介を返す。

 こちらも既に知っている人ばかりなのですぐに終わったが。

 そして、そのままガールズトークに花を咲かせだした。

 本当に歓迎しているようだ。

 良かった、本当に良かった。

 少し離れてホッと安堵していると話が少し聞こえてくる。


「トモマサ君は――」

「トモマサ様とは――」

 話題の中心は当然ながら俺のようだった。

 変なこと言われてないかな~と、思って耳を傾ける。

 すると聞こえてきたのは。

「カーチャ王女はいないのか?」

 俺のことでは無かった。

「カーチャ王女は、まだ――」

 アズキが小声で答える。

 俺は、「王女は、俺の彼女じゃ無いですよ。ロックオンされてるのは分かってるんですが、性癖がおかしそうだし、あまり関わらないようにしているんです」と心の中では突っ込んでおいた。


 少しして話が落ち着いてきたこともあり夕食を5人で囲んだ。

 今日はマリ教授の手料理だった。

 寮にあるだけの材料で手早く作ったそうだ。

 意外にも料理が上手なようで驚いていたら。

「昔の男のために練習した」

 とか暗い顔で言い出したので、それは言わなくて良いですと止めておいた。

 その後は楽しい話題で盛り上がり結構長い時間話し込んでいた。


 夕食後、俺は自分の寮へと返るカリン先生とツバメ師匠を見送りに玄関先までやって来ていた。

 本当は寮の前まで送ろうとしたのだけど、「カリン先生は私が守る」と宣言するツバメ師匠に任せることにした。

 実際ツバメ師匠の方が強いので。

 情けないけど……。


 別れ際、カリン先生とハグしていると耳元で、「今度は、4人でしましょうね。新しい下着買って」と囁いてきた。

 俺は慌ててカリン先生の顔を見る。

 すると、ニヤリと笑うカリン先生。

 まるで心の内を読まれているようだった。

 俺は誤魔化すように、「またいずれ」とカリン先生に、キスでお茶を濁して別れた。

 もちろん強請ってくるツバメ師匠にも忘れずキスして。


 2人が帰った後、リビングでマリ教授と2人で話始めた。

 話題は主にマリ教授の家族の話についてだ。


 マリ教授によると両親と兄さんが王都で治療院を経営しているそうだった。

 入院施設まである大きな両院らしかった。

 手が足りなくて弟さんも手伝いをするほどの。

 さらには復活した復元魔法、両親は使えなかったが兄さんが使えるようになったらしく今後の経営も大丈夫だろうという話だった。

 そんな話をしていると「お風呂の用意ができました」とアズキの声が聞こえた。

 

「マリ教授、一緒にどうですか?」

 誘う俺。

 だがマリ教授、恥ずかしそうに首を横にした。

 いきなりすぎたらしい。

 先に1人では行ってもらうことにした。

 

 マリ教授が上がった後、俺も風呂へと入る。

 するとアズキが、「洗います」と言って直ぐに入ってきた。

 俺は、「え⁉ アズキ、まじで‼」と一瞬、躊躇した。

 けどカリン先生の時もあるので拒否するのは止めておいた。

 ちなみにマリ教授は、「久々なので色々準備がしたい」とアズキに告げて、早々に寝室へと入ったらしい。

 再度、膜の復元でもしているのかもしれない。

 それなら急がなくてもいいかと思ってしまった俺。

 アズキに体を洗われてナニが元気になってしまい――結局、アズキとしてしまった。 

 心の中で、「マリ教授ごめんなさい。でも夜中に寝室に突入されるよりはましですから……」と謝りながら。


 マリ教授に聞こえないように声を殺してするナニは、いつもより物凄く興奮した。

 声が響くはずの風呂場で漏れそうになる声を我慢するアズキ。

 あまりに可愛くて物凄く激しくなってしまった。

 だが結果的には良かったかもしれない。

 すぐに解放してくれたから。

 流石に何度も強請られると時間が心配になる所だったから。


 風呂から上がり寝室に入るとベッドの真ん中で真っ白なネグリジェを着たマリ教授が正座していた。

 そして近づく俺に頭を下げてこう言った。

「不束者ですがよろしくお願いします」

「すごく古風な挨拶ですね」

 俺は感心してしまう。


 するとマリ教授、若干、上目遣いで恥ずかしそうに教えてくれた。

「昔、母さんに初めての時は、こう言いなさいって教わったから言ってみたんだけど。ダメだった」

 心を打ち抜かれるほど可愛かった。

 普段の研究室での態度とのギャップも大きくて。

 思わず押し倒したくなる欲求に駆られた俺。

 だが寸前で留まり何でもないように口を開いた。

「いや、ダメでは無いですよ。ただ、そこ言葉は、結婚初夜の時に言う言葉だと思うんだけど」

 するとマリ教授、予想外の答えを返してきた。


「うーん、愛人だから今日が初夜みたいなものでしょ? だったら、やっぱり間違ってないわね」

 俺は目を見開いた。

 愛人確定なんですか? 俺としては成人したら責任取って皆と結婚するつもりなんですけど、と。

 だが、まぁ、それは今、口にする必要はないか。成人してから改めて申し込んもう。という考えに至り、何も言わずにマリ教授を押し倒した。

 我慢の限界だったから。


 結果から言うと復元魔法は膜には効果が無かったようだった。

 理由は分からないけど。


 ナニが終わった後のマリ教授、痛みが無いのが嬉しいような悲しいような不思議な表情をしていた。

 俺はマリ教授を抱き締めながら、「痛いほうが良かったですか?」と尋ねる。

 するとマリ教授、首を横にしながら、「でも、あの男のときは――」とぼそぼそと話し出した。


 どうやら初めての時、痛いのをずっと我慢していたらしい。

 だから俺が、「痛みは回復魔法で取れるみたいですよ」と教えてあげると、とても驚いていた。

 その後も、また昔の男のことを思い出したのか、凹んでいたマリ教授。

 俺は全てを忘れられるように何度も何度もナニしてあげた。


 そして疲れ果てた俺たちは裸のまま抱き合って眠りについた。

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