一学期
第63話2.1 入学式
4月に入って数日、桜が満開の学園を俺はアズキと歩いていた。
そう、今日は、入学式の日である。
寮には数日前に引っ越しをした。
ヤヨイの屋敷を出るときにヤヨイが少し感情的になるかと思ったが、以外とあっさりと送り出された。
俺の方が少し寂しい気がするぐらいだ。
入学式は大講堂で行われるらしい。
そこの入口に向かうと受付があり、受付で名前を言うと資料を渡され中へ促された。
中には新入生用の椅子が並べられていた。
場所は自由にという事らしい。
目立たないように後ろの方に座る。
見ると、やはり前の方が空いている。
この日本人らしい行動は31世紀でも変わりがないようだ。
前の方にはシンゴ王子とカーチャ王女が座ってるのが分かった。
王族も大変なようだった……。
しばらくして入学式が始まった。
学園長の挨拶に始まり、祝辞、教頭による訓示、何処にでもありそうな欠伸の出そうな入学式だった。
最後に生徒代表の歓迎の挨拶があった。
ラノベでは美人の生徒会長が、とかあるのだろうが、この学園では冴えない男の挨拶だった。
しかも原稿を噛みまくって名前すらよく分からないぐらいの。
恐らくどこかの貴族子弟なのだろう。知らないけど。
入学式後は各クラスごとに分かれるらしい。
それぞれの教室に行くよう指示があったのでアズキと二人で向かう。
教室には誰もおらず適当に一番後ろの窓際の席に座った。隣にはアズキが座る。
しばらくすると、シンゴ王子、カーチャ王女とツバメ師匠が入って来た。
「え、ツバメ師匠、どうしたんですか?」
実戦訓練の後、数回の修行日があった。
その後は魔法学園の講義が始まるので剣の修行は学園が休みの土曜にするという事で決まっていた。
「トモマサ、実はな私も魔法学園に通う事になったのだ。しかも、トモマサと同じクラスだ。どうだ、驚いただろう」
ツバメ師匠が無い胸を張って笑っている。
「凄いですね。驚きました。入学試験の時は、こちらには来られなかったのに、良く『S』クラスに入れましたね」
「うむ、私もそのあたりは、よく分からんのだが、実技を見て『B』クラスから『S』クラスになったのだ。私の剣技が認められたという事だろう」
魔素量は『B』判定だったんですね。
実技、しかも剣技で『S』クラスって魔法学園なのに良いのかな? 俺の心の疑問にシンゴ王子が答えてくれた。
「たまにあるんだよ。剣や体術でも秀でている人が『S』クラスに来る事が。パーティーを組んで魔物の討伐とかの時に有利になるとか、魔素量を増やして身体強化魔法を会得してさらに強くなるとかね。優秀な魔法使いを増やすだけが、魔法学園の教育では無いという事だよ」
なるほど魔法使いだけでは無く、優秀な人材なら受け入れるという事か。
何にせよツバメ師匠がクラスメイトなのは素直に嬉しい。
ピュアな付き合いだが、3人目の彼女なので。
それなら他にも誰かくるのでは無いかと待っていたが誰もこなかった。
代わりに担任の先生が来た。
――カリン先生だった。
「おはようございます。皆さんの担任をします。スワ カリンです。宜しくお願いします」
「先生、スワって苗字だったんですね。初めて知りました」
「トモマサ君、驚くところはそこですか? 私は、今日、担任だと聞かされてかなり驚いたのに」
驚きましたよ。
担任が彼女とかどこのエロゲだと思うほどに。
しかし真面目な話、今日聞かされた? この学園何か危ないんじゃ無いかと勘ぐってしまう。
「とりあえず、自己紹介しますね。名前は、さっき言いましたね。年齢は、16歳です。昨年、魔法学園を卒業しそのまま教師として働いています。得意魔法は、属性魔法です。他には、回復魔法や身体強化魔法が少し使えます。それ以外の魔法も本では勉強してますので何でも聞いてください。至らない点も多いかと思いますが、楽しいクラスにしたいと思います。皆さん、協力よろしくお願いします。それでは、次はシンゴ王子お願いします」
パチパチと拍手の後、シンゴ王子が挨拶を始めた。
「第五王子のアシダ シンゴです。実は私は、魔素量はそんなに多くはありません。『S』クラスに入れたのは、王子の肩書きと身体強化による戦闘術のおかげです。皆さんの足手まといにならないよう、努力いたしますのでよろしくお願いします」
何て正直なんだシンゴ王子。
さすがイケメン王子だ。
しかし戦闘術か、今度一度見せて貰おう。
「次は、私ですね。私は、第四王女 アシダ エカチェリーナです。カーチャとお呼びください。回復魔法が得意です。王城では、ゲンパク先生に師事しておりました。皆様、何卒よろしくお願いします」
ゲンパクって言うと最初に俺の診断をした先生だな。
回復魔法の権威だとか言ってたな。
スキャン魔法も使えるのかな。ぜひ教えてほしい。
「次は、私だな。私は、ササキ ツバメだ。幼少より父から『巌流』を習い、免許皆伝をいただいている。魔素量は少ないが、剣術なら引けは取らんつもりだ。よろしく頼む」
実戦訓練でも凄かった。魔物を真っ二つにしていたもの。
魔素量もそのうちに俺とナニすれば上がるから心配いらないよ。
成人するまで気持ちが変わらなければだけど。
身体魔法を身に付ければ正に鬼に金棒になれるな。
将来と言わず、すぐにナニを……いかんいかん、成人までは手を出さないって決めたんだった。
そんな簡単に撤回するわけにはいかない。
変身したツバメ師匠は、すごく綺麗だったけどなぁ……。
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