第54話1.54 3人で仲良く3
必要なもののリストを見ながら、商業街を歩いていく。
商業街の中心部までは馬車で行き、先に帰ってもらった。
ここからなら、屋敷まで歩いて帰れるからね。
「ますは、ベッドかな?」
少し歩いたところに、大きな家具屋があったので入ってみた。
タンスに、テーブルにソファーにと色々置いてある。ベッドのコーナーは真ん中あたりのようだ。
「大きいのは少ないですね」
「それに、可愛くないです」
ベットコーナーを見て回ったが、寮にあるのと同じサイズぐらいのベッドが主流のようで、大きなものは少なかった。
カリン先生がデザインにダメ出ししている。
「ちょっと店員に聞いてみるか」
近くの店員のおじさんを呼んで聞いたところ、大きなものはオーダーメイドが多いためあまり既製品は置いてないとのこと。
すぐ近くにある木工工房と直接契約しているので、材料やデザインなどご希望の品を作成しますと教えてくれた。
参考までにと、過去に注文のあったデザイン画も見せてくれた。
「どう二人とも、気に入ったデザインはあるかい?」
デザイン画集を見てガールズトークに盛り上がっている二人に聞いてみる。
「こちらのデザインをもう少しおとなしくした感じで、キングサイズのベッドがいいのですが、トモマサ君は如何ですか?」
二人の統一意見のようだ。
カリン先生が説明してくれる。
全体的にシックなデザインの中に、細やかな細工が施されたベッドだった。
寮の部屋にも違和感なく収まりそうだ。
「いいと思います。こちらを注文した場合、どれぐらいの日数がかかりますか?」
「工房の者を呼んでまいります。しばらくお待ちください」
10分ほど待っていると、さっきの店員さんと工房のデザイン担当の女性がやってきた。
2週間ほどで出来るらしい。
それで良ければ、デザインの詳細を決めてしまいたいらしく要望を教えてほしいとのことだった。
入園式までには十分に間に合うようなので注文することにした。
カリン先生とアズキがデザイン担当の女性に要望を伝えていく。
担当の女性は、その場でスケッチを作って二人の要望に応えていった。
結局一時間ほどしたところでデザインが完成し、ようやく注文の運びとなった。
俺はというと、途中からやることがなくて魔素コントロールの訓練をしていた。
「それでは、代金の半金金貨20枚を先にお支払い願います。残りは、納入時のお支払いで結構です」
金貨20枚って200万円? 全部で400万円の買い物? こんな金額をベッドのために使うのか? 俺の庶民の金銭感覚では法外なのだが、カリン先生とアズキは「そんなものね」、ぐらいの顔である。
普通なのか? と考えているうちにアズキが代金を支払い、注文が完了した。
「金貨40枚って普通の価格なの? すごく高い買い物をした気がするが……」
店の外に出てから俺は、思い切って二人に聞いてみた。
「オーダーメイドは、大体のものが高いですね。頼むのは、貴族か大金持ちぐらいですから。まして、王都の真ん中の店なんて最高級品ですしね。私もあんな高い店で買い物したの初めてです」
カリン先生、その話、店に入る前に聞きたかった。
「私は、ヤヨイ様のお供で何度か来たことがありますが、価格的には、特に高くもなく安くもなくですね」
アズキは、ヤヨイといろいろ見ているらしい。
財布はこのままアズキに任せよう。
「いきなり高額でなんだか疲れたよ。先にお昼にしない? 隣の筋は、確か飲食街だよね」
「そうですね。お昼にしましょう。トモマサ君、私前から行きたかったお店があるのですけど、そこ行ってもいいですか?」
カリン先生、それって高い店ではないでしょうね? まぁ、お金は沢山あるらしいので構わないのですけど。
そしてたどり着いた店は、高級レストランでした。
ワイバーンステーキって美味しかったけど、3人で銀貨6枚って金銭感覚が壊れていきそうだった。
昼からの買い物でも、銀貨一枚する石鹸とか、三枚で銀貨一枚のタオルとか、大量に買っていった。
カリン先生とアズキが……。
後で聞いたら、全てヤヨイの屋敷で使われているものらしい。
あいつ、なんて贅沢しているのだ、と思ったが、好き勝手に使っている俺が言うことじゃないかと思い直した。
今日からは、大事に使おうと一人心に決めて、屋敷に帰った。
ちなみに買ったものはすべて、後日寮まで届けてくれるらしい。
至れり尽くせりである。
「アイテムボックスで持って帰ったら安くしてくれるかな」
とカリン先生に聞いたら、女の子と買い物に来て値引き交渉とかすると嫌われるよって言われてしまった。
プレゼントとかならそうかも知れないけど、消耗品でも値引き厳禁なのか。
カリン先生、ちょっと男に夢見すぎでは無いのかな? まぁ、結婚して所帯を持つようになったら現実を知ってくれるかな。
それまでは、少しずつ本性を見せていく事にしよう。
嫌われない程度に。と俺は一人決意していた。
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