第46話1.46 調教
2月に入ったイチジマの街は更に寒さを増していた。
今日も目を覚ますとアズキが俺の腕に抱き付いていた。
昨晩、ナニしたまま寝たので2人とも何も着ていない。
腕に当たる二つの膨らみがとても気持ち良い。
思わず抱き締めたくなるが、反対側では、ルリが俺の腕を枕にして眠っている。
孵化してからずっと一緒に寝ているが、最近は腕のあたりがお気に入りのようだ。
初めの頃は完全に俺の上で寝ていたのだが、だんだん重くなったので横に下ろしていたら今の位置で定着していた。
ベッドの中から窓の方を見ると、一昨日から降り続いた雪のおかげで辺り一面銀世界だ。
「本当に雪が多いな。嫌になる」
21世紀のこの辺りは、年に数回うっすら雪が積もるだけで翌日の昼には溶けてしまっているぐらいだったのに。
俺の嫌そうなぶつやきに、横で目を閉じているルリも「うにゃー」と声を上げている。
同意なのか否定なのかは分からないが。
アズキも俺の声で起きたのか、「おはようございます」と言いながら俺の上に乗ってキスをしてくる。
腕にあった膨らみが胸の上で潰されている。
あまりの気持ちよさに、下半身が元気になってしまったので思わずナニしてしまった。
その間、ルリは「またか」と言わんばかりの顔で少し離れた所で丸まってしまった。
若い体は、元気が有り余っているから仕方がないじゃないか。ルリに言っても仕方がないが。
アズキとゆっくり楽しんだ後、軽くシャワーを浴びて朝食に向かうとヤヨイが先に食べ始めていた。
「朝からお盛んねー。若いって羨ましいわ」
顔を見るなりこれである。
まぁ、事実なので何も言い返せないのだが。
アズキは少し赤い顔しながらも普通に朝食の準備をしてくれている。
今朝は、白米に味噌汁、海苔に卵焼きと純日本的なメニューであった。
もちろん最高級品の素材を最高の料理人が作った、21世紀では食べたことのない美味さの朝食なのだが。
準備が終わったアズキも席に着いたので、2人で「「いただきます」」と言って食べ始めた。
メイドのアズキが一緒に食べるのは、貴族的にはあり得ないことなのだがヤヨイが構わないというので同席する事にしている。
世間的には、奴隷なのだが内部的には俺の婚約者という扱いなので問題無いそうだ。
一緒に食べられるのは、俺としても嬉しいので堅い席以外では一緒に食べるようにしている。
「今日から調教かしら?」
俺の横で、ご飯をもらっているルリを見てヤヨイが聞いてきた。
「うん、この後、王城の調教師さんのところに行くつもり」
そう、今日から1ヶ月間、ルリは調教師の所で訓練を受ける事になっている。
しばらくは昼間だけだが、来週ぐらいからは泊まりでの調教もあるそうだ。
この訓練は、国で決められたカリキュラムで行われている。
元がただの魔物な為、国が定めた訓練を受けないと魔獣として登録することが出来ず、街に入ることはもちろんのこと、外で討伐されても文句は言えないそうだ。
その訓練をどこで受けるかヤヨイに相談した所、王城の調教師を紹介されたのである。
個人での躾ではもし野生化した時に起きる損害が大きすぎる為の措置だそうだ。
その訓練の初日である今日は主人も一緒に訓練を受けるべくルリと一緒に行く事になっている。
当のルリは、調教の事を分かっているのか分かっていないのか、いつも通りの感じでご飯を食べ終えてくつろいでいる。
猫又種であるルリは、成長すると人語を理解するらしいのだが、現状では怪しい所である。
ただ、俺の言葉にはよく返事をくれる。昨日も「明日から調教師さんの所で訓練だよ」って言ってあげると、「ミャ〜」とまるで「分かった」と言わんばかりの返事を返してくれたし、その後もアズキが、「賢いね〜」というと誇らしげに胸を張ったりしているし、かなり理解しているのでは? と思ってしまう。
ヤヨイからは、「親バカね」と言われている。
だが俺が、「ヤヨイが子供の頃も同じような事を言っていた」と返してやると、流石に少し恥ずかしかったのか、顔を赤くして「そんな昔の事知らないわ」とか何とか言っていた。
久々に口で勝てた気がするが、あまり言い過ぎると後が怖いのでここでやめておいた。
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