336ページ目…作戦会議

 聖剣エクスカリバー…それは、とあるバカ貴族から『ドワーフの作った聖剣を持って来い』と言う依頼を受けた時に、ドワーフ(アルテイシアさん)が鍛えあげた最高の一振である。

 まぁ、その聖剣は、色々有って今は僕の手の中にあるのだが…。


 それは、置いとくとして…だ、いざ、バカ貴族に聖剣を渡そうとしだ時、下級魔族であるレッサーデーモンと共にバカ貴族を襲撃しだ謎の団体…それこそがである。


「つまり、プリンはあの村が…プチスラ達の調査の結果、魔神教団の村だと言うんだね?」

「えぇ、プチスラちゃん達からの報告では…ですが…。」


 プチスラ達からの報告では…とは言う物の、その集めて来た情報を分析したのがプリンなのだから、まず間違いはないだろう。


「さて、そう言う事らしいけど、みんなどうする?」


 元々が現・魔王のいる場所の情報が欲しくて、ここまで来たのだが、相手が魔神教団である以上、『はい、そうですか』と素直に答えてくれるはずはない。

 十中八九、戦闘になるのは間違いないだろう。

 それ故、僕が言っているのは、どうやって攻撃するか…である。


「やはり、ここは大規模範囲攻撃の魔法で一掃では?」


 うん、確かにプリンの言う通り、それが手っ取り早いのは分かるんだけど…それだと肝心な情報が一切分からないよね?


「え、えっと…闇に潜んで、1人ずつが良いかと…それなら尋問とかも出来るかと…。」


 まぁ、確かにクズハの言う通り、それが無難な気もするが…その場合、時間が掛かり過ぎて、敵にバレる可能性が高くなる…。

 って言うか…クズハのヤツ、尻尾が増えてから、どんどんダークな一面が出てきてないか?

 現在、八本ある尻尾が、最大本数である九本になったら、どうなるんだろう…。

 そんな事を考えていたら、ローラが口を開く…。


「おな…。」

「あぁ、ローラには聞いてないから、大人しく、これでも食べててね?」


 ローラのセリフに被せる様に、僕はそう言うと、無限庫インベントリから非常食として大量に買い込んでいる干し肉を数枚取り出すと、ローラに渡す。

 すると、ローラは喜んでガリガリと齧りだした。


 ある程度、ローラと付き合いがある人なら分かる事ではあるが、ローラはお腹が空き始めると、〖人狼化〗と言うスキルを解除して狼の姿に戻る癖がある。

 その為、現在、狼の姿であるローラは、お腹が空いていると言う事だ。


 それに、基本的に脳筋であるローラに、意見を求める事自体間違っている。

 その証拠に、先程、ローラは『お腹空いた、肉食べたい』と言い掛けているのだ。


「あの…数人だけ捕まえて、その人達の前で、残りを全滅させれば良いのではないでしょうか?」

「いや、それはちょっと…。」


 …何だろう、情報を手に入れる為に、一番まともに聞こえる意見ではあるが『全滅させる』と言う意見に、素直に賛成出来ない自分がいる。

 いや、そもそもな話、僕には彼等を全滅させる程の理由が無いのだ。

 確かに、彼等は罪を犯したであろう事は明白である。

 だが、だからと言って全滅させるのは違う気がする。


 それに、もしかしたら…万が一の可能性ではあるが、罪を犯していない人だっているかもしれないのだ。

 それを連帯責任で全滅…は、いくら何でもやり過ぎである。


「う~ん…とりあえず、クズハの意見を採用しようか…ただし、〖魔眼〗を使う。」

「ま、魔眼…ですか?」


 魔眼と聞いて、いち早く反応したのはクズハである。

 尻尾が増えるにあたり、その過程で手に入れる固有スキルだったみたいで、クズハも魔眼が使える様になっていたのである。


「あぁ、誘惑テンプテーションの魔眼で相手を催眠状態にして、情報を聞き出す。

 それなら、人を殺さなくても良いだろ?」

「も、もしかして…私達に、人を殺させない為…ですか?」

「ま、まぁ…出来れば、みんなには人を殺す様な事はさせたくないのは確かにある。

 でも、問題はそこじゃないんだ。

 もし、襲撃したのが何らかの方法で、他の敵に知られたら?

 そうなったら、警戒している敵の懐に忍び込むのが困難になる。

 だから、今、そんな危険を冒す必要はない…と、思うんだ。」


 もっともらしい事を言いながら、僕は内心、冷や汗を掻いていた。

 あれこれ言い訳をしても、僕は単純に人を殺したくないし、彼女達にも人を殺して欲しくない。

 正当防衛でなら仕方がないが、それ以外には自分から人殺しは許されない事だと、思っているからだ。


「だから…ここは、魔眼の使えるクズハにお願いしたいと思う。」

「わ、分かりました…な、なんとかやってみます!」


 クズハはそう言うと、村の方を見つめるのであった…。

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