Ⅴ ネイバーズ1
「今日は手ごわかったな」
「どの辺が手ごわいのかよくわかりません」
「そうか」
キン兄さんは、タオルで汗をぬぐいながら笑っている。
「ゴミの量はそれほどでもなかったような」
「まあ、量はな。それより古さと湿り気だ」
「そう言われれば」
納得したように、キン兄さんを見る。
「乾いていれば臭わないが、湿気を帯びると匂いが増す」
「時期も悪いけどな」
「今日はコウさんは」
「都合が悪いからお前が来たんじゃないのか」
「そうゆうことでしたか」
「何だ、お前聞いてなかったのか」
「楽な仕事っていわれたんで」
「それに、ちょっとこの辺にも興味があったんで」
「そうか」
依頼人が、レジ袋を持って近づいてくる。
レジ袋に入った、飲み物を受け取る。
「料金は、兄さんの方に」
持っていた、紙封筒を見て依頼人に言った。
あどけない顔の女の子だった。
キン兄さんは、紙封筒を受け取ると、
中身を確認して、領収証を依頼人に渡した。
依頼人に、再度部屋の中を確認してもらって、依頼人の部屋を出る。
階段を降りたところで、もらった飲み物をキン兄さんに渡した。
スポーツドリンクだった。
飲んでいると、急激に体に沁みわたっていくのがわかる。
あっという間に500ミリが体の吸収された。
「これから、探索するのか」
「はい、できれば」
「あとは俺だけで大丈夫だ」
キン兄さんは、さっきの紙封筒から札を取り出して渡してくれた。
「ありがとうございます」
「まだ頼むよ」
キン兄さんとゴミを乗せたトラックが、
夕暮れの空に向かって遠ざかっていく。
「さて、行こうか」
チラホラと明かりのつき始めた繁華街。
ゆっくりと忍び込む。。
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