第27話

「Eランクスキル『四則演算使い』二年ミーナVSCランクスキル『槍使い』一年毛利」


ミーナの対戦相手はイグアスと同じスキルを持つ新入生の女子生徒だった。


ふと強い気配を感じた


その気配はミーナがよく知るイグアスのものだった。ミーナは他の闘技場からイグアスが勝ったのを確信した。


「なあ、なんで非戦闘スキルの人がこの学園に来たんだ。」


一年の槍使いは気が付いていないらしくミーナがこの学園に来たことを疑問に思っているようだった。


「それは試合で見せてあげるよ。審判さーん。」


「はい試合開始!」


「はいッと!」


ミーナはモノを投げる。


「ゴホッゴホッ、煙幕か。」


煙幕もまた貴重な装備枠の一つとなる。消耗品故に使う者も少ないが奇襲という点においてはこれほど有効な手段は存在しない。またミーナは敵に合わせて随時作戦を変更していくためその戦法は見破りづらかった。


そして今日、彼女が選んだ策とは


「これは、神経毒。」


闘技場という一歩間違えばこちらも神経毒に侵されかねない空気がたまりやすい空間でそれを使うことは自殺行為に等しい。ガスマスクをつけているなら話は別だがミーナの装備にガスマスクは無い。だがその代わりにミーナはあるものを作り出していた。


「ふふふ、私は抗体があるから動けちゃうんだー。」


ミーナはずっと自分の使う毒に対しての抗体を作っていた。初めはより致死性の高い毒の抗体を作っていたため試験のルールにより使用できていなかったが今は違う。ミーナ本来の戦法を作り出せるようにするため四則演算で毒の抗体を作り上げるだけの日数を計算して全ての試合で使う毒の抗体を作り終えていた。


そして小さな刃を振りかざして


「はい、勝負あり。」


これがミーナの戦い方だ。


例え別の相手が来ようとまた煙幕を使い効率的に敵の神経を潰していく。


風の魔法や魔道具を使い吹き飛ばそうとする者も居るが四則演算使いのミーナの前ではそれは意味のないことだった。ほんの少しの軌道を読むことで敵が自分用に確保する酸素の流れを割り出しそこに毒を送っていく。


敵はもがき苦しみ動けなくなっていく。そして、ミーナにあっけなく止めを刺される。


例え炎で燃やそうとしてもその時はもう一つの無機物の毒を使うことで燃やされることなくむしろ気化しやすくなりより危険な状態に仕向ける。


そんなミーナの連勝していく姿を見て誰かが呟いた。


「#無邪気なる美しき花__ピュアモンク__#」



トリカブトになぞらえた二つ名を持つ非戦闘スキル持ちの快進撃が始まった。


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