愛理サイド
私はどうしたらいいのだろうか
彼に初めて会ったのは実家の集まりのこと。一応分家筋の人間も全て集まらせ道場の方針を固めるためのモノだったらしいが当時の私は詳しくは知らなかった。
「ねえお兄さん、何やってるの?」
「工作。」
彼の妹と彼の幼馴染のミーナは横でおままごとをしておりそれの相手をしつつ彼は何かを弄っていた。
「じゃあ何作ってるの?」
「槍。」
今のように言葉数が多くはなかった昔の彼は無口な職人気質のような人間だった。スキルが解ってからも淡々と自分の意思を貫き黙々と作業をする。
「なんで槍を作ってるの?刀じゃないの?」
「俺は槍使い、だから槍を作ってる。それに妹の木刀は作った。今度は自分の。」
彼の手に握られた2メートルぐらいの当時の彼の身長二つ分くらいはありそうな大きな棒を丁寧にサンドペーパーで擦っていた。
「それ、楽しいの?」
「楽しくない。」
「じゃあ私と遊んでよ。」
「わかった。」
後から聞いた話によると親からの方針で自分の武器は自分達で用意するのが彼の家の方針だったらしい。そんなことは梅雨知らずに遊びに誘った私は彼の手を引いて彼からなんとか喋らせようと努力した。以外にも彼は可愛い物好きで私のぬいぐるみを差し出すと嬉しそうに抱きしめていた。その過程で彼の妹も仲良くなった。
でも仲良くなりたかったのは彼だった。しかし私は彼の趣味を爆発させてしまった。それで彼は女装に目覚めるようになった。
それから何度かあった。その度に彼は美しく、そして綺麗になって行った。アプローチも通じなくなるぐらいに綺麗に思えた。
そんな矢先、歳の離れた兄と彼の父親が殉職したという知らせを聞いた。異界から使者に対抗するべく私たち攻撃スキルもちは軍に入らなければならない。兄のスキルは刀術師、そして彼の父親のスキルもまた攻撃系のスキルだった。
名誉の死だそうだ。私の親は狂い彼の母親も狂った。そして人生が変わってしまった。
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