第3話

「こちらから行く、貴方にそんな時間はないわよ。」


雷が迸る。


「へえ、こんなに近くに来させてくれたのに?」


もう目と鼻の先に居た。


「う、そ。」


「さて攻撃をするかな。ほいっと。」


ただの突きだった。だが受け止める側はそうでもなかった。


「ぐっ!」


リュヒルは後ずさる。


「なんという重さ。」


「なんだ雷槍術師様が聞いて呆れるな。この程度、魔物に比べたら屁でもないだろうに。」


そして後ずさった僅かな間合いを伸ばしきったゴムを離すことによってリーチが無くなった。


ガキンッ


雷槍を引っ掛けるようにしながらリュヒルの手元から槍を剥奪した。


「これで締め………邪魔が入るみたいだな。」


パリンッ


空間が割れて闇が出てきた。


「おーい皆の衆、ゲートが開いたぞ。非難しとけ。」


ゲート それは異世界からの使者がくぐるこちらへの道、友好的な者も居るが極稀だ。そのほとんどが破滅への使者。


今回はその中でも最上位に位置する者


「ヒュー、ドラゴンかあ。リュヒル、とっと槍拾って逃げとけ。」


「あ、ああああうわああああ!!!」


恐怖のあまり叫び失禁していた。


「はあ、死線を潜り抜けてこの様か。」


ドラゴンは炎の吐息を吹き付けた。


「あっちは既にたぎりまくっているみたいだな。槍術には#吐息__これ__#の防ぎ方は存在しねえわな。」


槍の穂先を初期状態に戻した。


吐息はもう目の前だ。


凄まじい爆発が襲い狂った。


「あ、あああ生きてる。」


リュヒルは唇を震わせながら生を実感する。


「もう面倒だからお前の雷槍借りるぞ。」


ひょいと拾うと神鳴りが鳴った。


「一瞬過ぎて魔法具はつまらないな。」


ドラゴンは火がしっかり通ったレアに焼き上げられていた。


『貴様、これで終わりと思うのか。』


「念話を使えるなら古代竜クラスか。じゃあもうちょい耐えれるな。」


『ふざけるな人間風情が!』


「不正解、俺はニンゲンだ。」


神鳴りが合計4293回ドラゴンの身体打ちひしがれた。


「ヒトはスキルを作った。そして人はスキルに優劣をつけようとした。使い系のスキルは術師系スキルに比べて使い勝手が悪い。だが使い系のスキルは術師系スキル所持者がどうあがいてもなし得ないことができるってことを覚えておきな。」


魔法具とは本来ここまで使えるものはあまりいない。本業をもつ魔術師で最初の一回をようやく使えるレベル。だがこの槍使いはドラゴンをいとも簡単に倒せるだけの力を引き出したのだ。


「そんな、槍使いがスキル昇華をした私ですら倒せ無いと思ったドラゴン種の魔物を倒すなんて。」


「倒してねえよ。雷槍が全てやった。槍使いは関係ない。」


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