第二話 突然マドンナ

「おいおいおい!」


「なんだよ平岡〜」「焦っちゃって〜笑笑」

と、平岡をなだめる男子達。


「末山が…

 (こそっ…)爆乳になってやがる」


……………………………ん?


教室は沈黙に包まれた。


「あ、末山!」

「平岡が変なこと言って…ってあれ?」


男子たちが見つめるのは

私のなかったはずの『乳』である。


「ほ〜ら、言ったろ?

 末山が女になったって笑笑」


「平岡、お前なぁ…前から女だっての!」

私は呆れてそう言った。


「末山、揉んでいい?」

「いいわけ無いでしょうが!!!」


思い切りキレた。

コイツラはデリカシーがないのか。


プライバシーの侵害だぞ?!


「お前ら、末山に突然興味持ち始めたな

 末山の気持ちも考えてやれよ」


「松賀谷…」

私は、感動して思わず声を上げる。


「とか言いながら、裕も一緒だろ?

 末山の爆乳ばっか見てんだろ笑笑」


「ぶっ」と吹き出した松賀谷

その反応、図星ですかーー(ガーン…)


「おいおい、永久が貧乳だろうが

 爆乳だろうが関係ねえだろ」

「ヒロ〜!」


超感動!ヒロのことは信じられるわ!

腐れ縁ってヤツかな…


「…まぁ、俺も爆乳の方が好きだけど笑」

おぉ?裏切ったな…こやつめ!


「本音出た、やべ」

やべ、じゃねぇよ!!!


「尚汰も爆乳好きですかー」

穂高はあんま分かんないんだけど…


―…冷静クンだよね。


「末山が嫌がるならヤメたら?」

「え、穂高。アンタ私の味方かい!?」


このクラス大体が変態ヤローなのに…


「いや、弱いものイジメは…駄目」


お…おぅ?すごくありがたいような…?


「穂高って、ベッド下にエロ本とか…

 隠してそーじゃね?笑」

「や、分かるわ」とふざけて言い合う男子。


大丈夫か、と言わんばかりに穂高を見ると…

穂高は、無表情だ。


ポーカーフェイスってやつ??


「穂高、ありがとう」

私は、素直になった。


思わずいつもの調子で、腕を組みに行ったら

爆乳であることを忘れていた。


ぷにっ…


爆乳が穂高の顔を挟む。


「「う…わぁぁぁ!?」」


最初の爆乳事件であった。

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