第一話 男のような女

「末山!」

「…パス!」


私にボールが回ってくる。

相変わらず良いパス。さすが男子✨


「おぅらぁ!」


私は、ゴール前で思いっ切り蹴った。


ー…シュパッ!


ゴールネットにボールがかかる…

「でかした、末山!」


歓声が上がる。

だが、私の周りはどこを見渡しても男子だ。


それは、そうだろう…


登坂嶺高校は、共学という名の

『ほぼ!』男子校のようなものなのだから。


そして、私・末山 永久は唯一の女子。

…でも、貧乳なせいで女扱いはされない。


可哀想でしょ?

まぁ、同情されんのは心底ウザいけど。


「末山!ボール!!!!!」

「えっ!?」


私が見た頃は遅かった。

ボールが、私のミゾを直撃する。


「ヴッ!」

痛ーーーーーーーーーーーーー!!!!!


「末山!大丈夫か!?」


皆の声が遠くなっていく…

私は目をつぶった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ん…」


心地よい。目覚めたのだ。

痛かったなぁ…さっきのミゾ撃ちは。


ん…と思いながら手を上げる。

「ん?」


なんか胸のあたりがぷるっ、てなった気が…

貧乳の私になにがあった???


「入るぜ?末山」

ガラ…


「平岡か…」

少し嫌な顔をする私に対し、平岡は…


「え、末山。マジかよ、お前…」


「なに…」

そんなに驚くことなのか。


「末山が…


 爆乳だ!!!!!!!!!!!!!!!」


!?


私は胸に手を当てる。

いつもより、早く胸に辿り着く。


「なん…だこりゃ…」


私の胸は、下を見ても地面が見えない

くらいの大きさに膨らんでいた。


「起きたら爆乳になってました…」


笑うことしかできなかった。

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