錆びた鉄路Ⅰ

街と町をつなぐ列車を運行する貴方ひとは逝ってしまったな、と。

僕はとある鉄道員のことを思い出しながら

とうに学校を卒業している身ではあるが。

再び青春を謳歌しようと、きっぷを握りしめてローカル線の駅にひとり佇んでいるのである。

次の列車は、1時間後にくるらしい。


暇つぶしがてら、遠くから聞こえる声に耳を傾ける。


「正直、キッパーとか撮り鉄って利益ほぼゼロだから不味いんだよなぁ」


もっともらしい噂だ。全くもってその通り、身も蓋もないとはこのことだ。

それでも、それぞれの思いを胸に各駅停車に身をうずめ、カメラをかまえるのだ。


まだ、列車はこない。


「利益を落とさない人たちは所詮、その程度なのだ」


そんな人たちを相手にするくらいなら代わりに俺たちが払ってやるよってさ。

僕はすっかりしびれてしまったね。気持ちええくらいにバッサリなんだ……


納税者よ、利用者よ、雄々しくあれ。

少なくとも私のようにここで愚痴を垂れるような奴になるな……


「お客さん、もう終点ですよ」


……んん?

「降りてください、ほら。うわ、こいつ酒くせぇ」

失礼極まりない言葉を吐きながら、泥酔に身を預けていた僕を

まどろみの鉄路からたたき起こそうと躍起になる車掌。


「ん、ここどこぉ……?」

「終点ですよ」


こうして僕は泥酔トリップを果たしたのであった。


「ふにゃぁ……ちょっとお借りしますよ」

「こら、私は枕じゃないですぞ!起きてください」







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