第31話 38番

都内某所

俺と恵は都内の景色のいいホテルの一室にいる。

「恵、一緒にシャワー浴びようか」

恵は緊張気味に小さくうなずく。

今夜、ここで恵を抱く。

最初は俺に部屋にしようかと思っていたが、初めての記念だしちょっと飾った場所を選んだ。

もちろんエナジードリンクは飲んであるし、予備も冷蔵庫に入っている。

「なんかすごいね。こんな凄いホテルはじめてかも」

「恵の最初を貰うんだから記念になるような場所が良かった」

恵の服を全部脱がし、俺も裸になる。やっぱ、でかい。

彼女の肩を抱きシャワールームへ向かう。シャワーを浴びながらいちゃいちゃする。ベッドに入ってもしばらくはいちゃいちゃ。

もう俺も恵も気分はハイに。貪るように恵を頂く。

「千秋、千秋」

俺の名前を何度も叫び、恵は俺のものになった。

19時過ぎから25時位まで愛し合ってた。高校生の体力すごい。

何回やるの?どんだけ猿だよ俺は。でも止まらないんだ。

翌日の恵は、腰や足が筋肉痛で辛そうだった。

「これからも沢山愛してほしいな」

「何回だって満足するまで抱いてやるから。もう自分で慰めなくていいよ。俺に連絡すれば抱いてやる」

首に手を巻き付けキスをする。唇を貪るようにキス。舌と舌でプロレスをしあう。

キスってめっちゃ気持ちいいんだよな。絶対に病みつきになる。



ある日。

ある日の放課後。今日は俊彦と恵と秋司・桂子さんとお出かけ。なんか可愛い言い方になったな。気持ち悪い。

ゲーセンに行こうと前から話していたから今日は一緒に帰っている。

駅そばのゲーセン着いたら、目的のプリクラ。

なんかプリクラって男だけじゃできないんだって。なんでだ?

女の子がいれば撮影できるらしく、俺たちはみんなで撮影をする事にした。

3・2・1・パシャリ

うぉ、俺は目を閉じてるぞ。寝てるみたいだ。もう一度、3・2・1・パシャリ。

うん今度はちゃんと撮れてる。

「おー、アイドル様とプリクラとかファンの子が憤死しそう。ざまぁ」

「そんなこと言ってるから彼女できないんだよ」

敏彦が恵に突っ込まれてる。たしかに俺もそう思う。

「んじゃ、恵っちが俺と付き合えばいいんじゃね?」

「うん、それ無理」

返答はやっ。それに恵には彼氏いるからな。

「ちくしょー、俺はどうしてこんな役回りなんだ。そうだ、千秋も一緒にナンパしにいかない?どうせ秋司はこの後に桂子さんと遊び行くんだろ?千秋行こうぜ」

「無理。ナンパとか興味ないし。そもそも事務所で禁止されてるし」

いらぬ面倒を増やすなと言われている。新人アイドルがナンパに行くってなんか哀れだし。

「世の中は一期一会ってな。きっと素晴らしい出会いが待ってると思うぞ。なぁ、行こうぜ千秋様よぉ」

「もう素晴らしい出会いは沢山あったよ。それに恵を残すわけいかないだろ?」

敏彦がすねだした。まったくこいつは。

秋司と桂子さんはこのタイミングで別行動になった。デート楽しんでほしい。

「あいつらは随分と幸せだな。俺にも少しぐらい幸せわけてもいいだろう」

敏彦も本気で彼女が欲しかったら、少しは行動を改めないと。

「それじゃプリクラ撮ったし帰るわ」

「マジか。お疲れさん。恵ちゃんは俺とデートする?」

「あたしも帰る~。俊彦君はナンパ頑張れ。1000人に声かけたらワンチャンあるかも」

恵はバイバーイと俊彦に声をかけて走ってきた。

「そういえば千尋が会いたがってたな。家くるか?」

「行く~。私も千尋ちゃんと遊びたい」

俺たちは家に戻った。


家に戻ると居間で千尋がTVを見ていた。

「お兄ちゃん、お帰り。あっ、恵さん久しぶりだね」

「千尋ちゃんと遊びにきた。マリカー対決しよっ」

「よしやる。お兄ちゃんはドリンクとお菓子用意して」

千尋はさっそくゲームの支度をする。俺は小間使いか。

2人はゲームをやりながら、俺のCDの手売りの話をしてた。

「あのお兄ちゃんがねぇ、なんかおばさんとかにも笑いながら握手してるんだもん。ちょーうけるでしょ」

そりゃCD買ってくれた人だからな。おば様たちは、ファンになってくれると、ものすごく売り上げに貢献してくれるからな。

「私も行ったよ。CD買って握手してもらった」

「そんなの買わなくても手つなげばいいじゃない。恵さんはいつもお兄ちゃんと遊んでいたんだから」

「握手はしてもらえるけどCDも欲しかったから。千秋の歌よかったし。うちのお父さんとお母さんも褒めてたよ」

まじかぁ、おじさん達にもにも聞かれちゃったか。あらためて知り合いに聞かれるとすこし恥ずかしい。

「まぁ、私も友達連れて買いに行ってあげたけどね。お兄ちゃんは私に感謝するがいい」

そういえば千尋の友達の反応を聞きたいな。

「みんないい曲って言ってたよ。ファンになったかは知らない。でもレイヴンプロモーションのHPみて、ファンクラブがどうとか言ってたから、興味は持ってもらえたんじゃない」

お金払ってファンクラブに入ってくれるのはありがたいな。

「お兄ちゃん、ファンクラブって何人位の会員がいるの?」

「今は800人位かな」

「それってどうなの?」

「マシなほうじゃないかな。だって俺はまだ未成年で新人、しかも出張しての販促活動をしてないし。普通は全国を回るって聞いてるよ」

近場でのCD手売り販促や、ショッピングセンターでのミニライブだからね。TVに出たときに少し会員が増えたみたいだけど。

「年会費5000円払って会員になってくれる人はありがたいよ。でも、これからもっともっと増やしてやるからな」

俺の話を聞いてた恵がゲームの手を止めて鞄を開いた。

「じゃじゃーん。会員No38の新田恵です」

おま、いつの間に。しかも38番ってかなり早い段階で会員になったのか。

「ちなみに彩奈はNo262番です」

彩奈まで入っていたの?俺、聞いてないよ。

「恵ちゃんすごーい。しかも38番て」

「彩奈の事務所のHPは前からよく見てたの。そしたらある日、上原千秋ファンクラブって掲載されたからね。速攻で入った」

「俺のモデル活動とかいつから知ってたの?」

「夏休み前から」

ほぼ最初からじゃないか。全然気がつかなかった。

「彩奈が教えてくれたんだよ」

しかしすげーな、38番。

「頑張ってる千秋が見れるからね」

正直嬉しい。恵も彩奈も会員だったなんて。

「んじゃ、ファンミーティングは楽しみにしていてくれ。俺、頑張るから」

「期待している。キラキラな千秋をみせて」

「お兄ちゃん、5000円くれたら千尋がファンクラブに入ってあげるよ」

「入らなくていいから」

ちぇー、と漫画みたいなこと言い、千尋と恵はゲームを再開する。

ファンクラブか。1万人規模にしたいよなぁ。あちこちで販促しないとな。まずは俺を知ってもらうことからだな。


ちなみに恵はうちで夕飯を食べて帰った。何も言ってないのに母さんが用意していた。そういえば昔からそうだったな。

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