第30話 女の子、褒める、大事

次の日

「おはよう~」

学校に着くと恵が飛びついてきた。まぁ、この位ならいつもの恵みだな。おっぱいの感触が最高です。

彩奈も恵も何ら変わらない、いつもの状態だ。

「おはよう。2人は今日も可愛いね。朝からドキドキしちゃうよ」

褒めておいた。その言葉に満足そうな2人である。女の子、褒める、大事。


俺の登校に気が付いたクラスメイトの女子や、他のクラスの女子が話し掛けてきた。

「ねぇねぇ、上原くん。こないだの番組見た。”MARK YOU”聞いたよ。歌も上原君もカッコよかった」

彼女達が持ってたCDのジャケットにサインをした。ホント芸能人みたい。

「コンサートとかやるの?」

「そのうちね。まずは小さな会場でファンミーティングみたいのかな」

「私たち絶対に行くね」

「応援ありがとうな。俺も頑張るから是非見に来てくれ」

握手を求められてしまった。でもよくTVみて俺だって気づいたよな。女子スゲー。

先生がくるまでその騒ぎは続いた。


休み時間に彩奈に聞いてみた。

「なぁ、彩奈のファンは休み時間に来ないのか?」

「女の子はあまり来ないわね。男子は来てもデートの誘いか告白ね。これから千秋もモテるようになるわよ」

「俺は彩奈と恵がいれば他の人はいらない。応援してくれるファンなら大歓迎。もちろん男女どちらでも」

できれば末永くファンになって欲しい。

「ファンミーティングはいつの予定なの?」

「クリスマス24日だって。会場は横浜のホール。1000人規模だって。まぁ、新人だしこんなもんだよね」

次の目標は1万人規模で。そしていつかはドームでしょ。え、そんなにうまくいくのか?いや、いかせる。夢は大きくだ。

それに嫁を2人貰うにはある程度は成功してないとダメだ。1000人規模じゃ話にならない。

年明けにはアルバムも出す予定だ。来年は今よりも、もっと忙しくなる。

「24日は彩奈も仕事だろ?イブの夜はクリスマス会できないな」

俺はファンミーティング、彩奈も仕事、恵はファンミーティングに招待するか。

「クリスマスの前後で遊べる日にクリパしようよ」

恵はクリスマス会がしたいようだ。うん、俺もやりたいな。

「恵はこれるならファンミーティングに来ないか?関係者席のチケット2枚貰えるから、千尋のお目付け役もかねてお願いしたい」

「行くよ。絶対に行くから」

「私も仕事じゃなければよかったんだけど。雑誌社のクリスマスパーティーに招待されちゃってるから。うちの事務所のお得意様だから行かなきゃいけない」

まあ、仕事はしょうがない。

「彩奈も早く終わるようなら合流しよう。まぁ、無理はしないでね」

「わかってるわ」

最近は持ち歌とダンスの練習ばかりである。モデルやエキストラの仕事を全然してない。完全に歌手シフトである。



ある学校帰り。

俺たち3人はクリスマス会を25日行う事にした。

イブは無理だったが、25日の夜は何とか3人ともに予定がなかった。

「集まる場所は恵の家でいいの?」

25・26日は、恵のパパ&ママは、1泊二日のバス旅行に行くので、他に誰もいないんだって。

「うん、あたし昼に沢山の料理作るから。チキンの丸焼き作ろうよ!」

彩奈も料理のお手伝い。俺は17時に恵の家に向かう事にした。

チキンの丸焼きは、3人じゃ食べきれないんじゃないのか?

「スモールサイズのチキンが売ってるよ。オーブンで外はパリパリで、中はしっとりなチキンに挑戦する」

そうか、ちょっと期待しちゃう。

「その日は親もいないし彩奈も千秋も泊ってね」

そうか、めっちゃ期待しちゃう。


しかしクリパが開催されることはなかった。なんでか?

3人でお泊りに出かけることにしたからさ?もう行く前からドキドキだよ。



ある休日。

今日は都内のレコードショップにCDの販促にきている。

店の片隅に上原千秋の特設ブースを作り、CDを手売りするのだ。もちろん希望者には握手つきで。

店の前で歌う訳じゃないから、そこまでは売れない。でも手売りが珍しいのか、買ってくれる女性もちらほら。

頑張って販売してると知った顔がやってきた。

「1枚下さい。握手もお願いします」

千尋が友達を連れて来た。

他にお客さんがいなかったので少し話す。

「お前、お小遣いがキビシイって言ってなかったか?」

「うん、お兄ちゃんのCDだから買っておく。あと、友達も連れてきた」

千尋の他に5人の少女たち。

私たちもCD買いますと、売り上げに貢献してくれた。お礼に両手で包み込むように握手。顔を近くに寄せてありがとうを囁く。

顔が赤くなっちゃって可愛いなぁ。

「もう、お兄ちゃんは私の友達を口説かない!」

そう言い残して彼女たちは帰って行った。わざわざここまで来てくれてありがたい。しかし、何も言ってなかったのに、よく場所がわかったな。

昼食をとり午後も販促コーナーで手売りを頑張る。

ぽつぽつとCDは売れているので、一応は順調なのかな?

40代のおば様にCDを売り、しっかりと握手をする。ありがとうございました。

よし、次の人。顔を見ると恵が来店。

「お嬢さん、一人だと危ないですよ。可愛いんだから誘拐されちゃいますよ」

むろん人に聞かれない声で話す。

「誘拐してくれないんですか?」

とニッコリ。

どうやら彩奈に言われて様子を見に来たらしい。わざわざ都内まで来るのは大変だったろうに。

恵が腕をあげ遠くを指さす。指さしたほうを見ると、恵の両親がいた。当然、面識があるので頭を下げる。手を振られてしまった。

「お父さんに頼んで車で来た」

お義父さん、休みの日にすいません。

恵もCDを買ってくれたので、握手をしてやった。

「仕事頑張ってたよって彩奈に報告しておく」

恵は手を振りながら帰って行った。

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