虚無の飯

 ここ数日は虚無の飯ばかり食っている。


 一番のお気に入りは「焼き飯」だ。


 玉ねぎがあれば粗くみじん切りにして入れるけど、無いときは米だけで作る。ライスオンリー。調味料は塩コショウと少しのコンソメ、そして少しの甘口醤油だ。醤油は香り付け程度。メインの味付けは塩コショウだ。


 玉ねぎがあると玉ねぎの食感と甘味が良いアクセントになり、うまい。まあ虚無ではあるけどさ。玉ねぎもないときは米だけだ。


 待てよ、米だけだともうただの「焼いた塩おにぎり」じゃないかい?


 じゃあもうおにぎりでいいじゃないかと言われてしまうかもしれないが、そうじゃない。焼くという一手間をくわえることで惨めな気持ちにならずに済み、しかも米の甘みが強調される気がするんだよ。あと油でコーティングできて、なんか焼き飯感が出てきて良いよね。


 他にも、虚無の飯はある。


 米に醤油をかけるだけ。米をケチャップで炒めるだけ。パスタにサラダ油と塩コショウをかけるだけ……。


 基本的に炭水化物+調味料オンリーだ。


 野菜高いし肉も高いからね。鶏むね肉なんて「私安いですよ」という顔してるけど、普通に高いと思うんだ。


 なんか最近、1パック150円以上の食材は全て高級に見えてきた。料理も得意で好きだったのに別に好きじゃなくなってきたし、食事に時間をかけたくなくなってきていてヤバイ。栄養なんて関係ねえ! 豆腐と卵がありゃいいんだよ!


 ああ、人間としての尊厳が失われていくような感覚がある。


 え? 酒をやめろ?


 一理ある。食費より酒代のほうが高い。食費なんて1ヶ月7千円~1万円くらいだと思うけど、酒代は倍くらいはしている。お金に少しでも余裕があると毎日1リットルは飲むしね。それでも酔えないから鬱憤がたまるんだけどさ。


 ああーあー。


 虚無飯食いながら酒が飲みたい人生だった。



 待て。


 そんな人生で終わらせたくはないぞ。

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