27日目 ダミー呪文書
「えっ、自分、呪文書を一から作ったことないんですが」
「うん、でも書写は何冊もしてるでしょ? だったら呪文書も1から書けるでしょってのが社長の見解なのよ。というか、そのくらいのレベルで社員には成長してほしいと言ってたよ。できる?」
「あの……その……」
コタンの背筋が凍った。
呪文書を書く?
成長?
「いや、無理です。全然わからないので。
「うん、出来てない」
コタンと同じ支社の上司であり、2
「
「ダミーなんですか」
「そう、ある程度まで
アムラトは〈全自動〉ミーティングやほかの定例会議のほかに、役職者ミーティングにも参加している。通常の会議はほぼ社員のスケジュール報告とそれに対する社長の異議申し立てで終わってしまうため、具体的なプロジェクトの指示は役職者ミーティングで行われることが多かった。
「うーん、1から教えたいんだけど、ちょっとプロジェクトの進行的に無理なんだよね。提案書とマニュアルを参考に、すでにあるほかの呪文書で使えそうな部分を流用して作ってくれる? あとでチェックはちゃんとするらしいからさ」
「う……はい」
コタンの胃が急に痛くなった。
この
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