40日目 監視玉設置作業

 業者の指導により、コタンは監視玉の設置作業の工程を何とか把握した。


「なんでこんなことに……」


 コタンは監視玉を天井に固定するための魔器具を手に持ったまま、帰っていく設置業者を呆けたような表情で見送っていた。


「あ、レクチャー終わった? これでもう一人で水晶玉の埋め込み、出来るようになった?」

「た、たぶん大丈夫だと思いますけど、でも……」

「でも?」


 上司のアムラトが後ろから話しかけてきた。

 コタンは今日突然、アムラトからの指示で、監視玉を天井に設置するやり方を業者のレクチャーを受けることになった。一人でも監視型水晶玉を天井に設置できるように、と指示が本社から来たらしい。


「なんで自分なんですか」

「……ああ、社長の指示。コタン君はこういう魔道具ツールの使い方とかくわしいでしょ? って言ってたよ」

「?!」


 コタンは別に、魔道具ツールなどに関して詳しいわけではなかった。どこからそのような話が出たのだろうか。


「で、早速だけど、明日から、近くの支社をいくつか回って、監視玉を設置してほしいんだって。移動は勤務時間内でいいよ。グリフォン券出てるから」

「うわあ、いいですねえ、コタンさん! タダで旅行できますね!」


 話を聞いていたナフェルタリが目を輝かせて話しかけてきた。

 コタンは力なく、はは、と笑うことしかできなかった。

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