38日目 監視玉
「え? 監視はされてるよ。見えなかった?」
「えっ、どこですか? なにがですか?」
「ほら、あれ」
どうやら本社の社長室から、各支社の光景が見られるようになっているらしい、といううわさをほかの社員に聞いたコタンが、上司のアムラトに聞いてみたところ、アムラトはこともなげに答えた。
アムラトが指をさした先にある天井の隅には、なにか光るものが埋め込まれていた。
「あれ、なんですか?」
「あれはね、監視玉。水晶玉の小型版なんだけど、精度はかなりいいらしいよ。個々の支社全体の呪像を本社に送ってるんだよ」
「監視してるんですか」
隣の席のナフェルタリも大きな目を開いてこちらの会話を聞いている。やはり気になるらしい。
「うん、社長室には水晶玉が20個くらい並べてあって、各支社の光景が24時間見られるらしいよ。それで居眠りをずっとしてた社員が首になったことがあったらしいよ」
「そ、そうなんですか……。見てるんですね」
「うん、時々見てるらしい。だから、あんまり不審がられるような動きは避けた方がいいね」
ストレスの種がまた一つ増えた。
というよりも、改めて気付いただけだ。
隣の席のナフェルタリの笑顔が少なくなっていることにコタンは気付いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます