第18話
マッテオ国王の思惑通りに戦わされるのは、非常に不愉快です。
このまま叩き殺してやろうかと、真剣に考えました。
ですが心の奥底の冷めたところで、損得勘定をしてしまいました。
他の事なら感情に任せても後悔しませんが、アウロラの将来がかかっています。
私にとって、アウロラとの穏やかな生活に勝るものはありません。
「私とアウロラを陞爵していただきます」
「それは……
まだ子爵と男爵に叙爵した披露もしていない。
いきなり伯爵や子爵を与えるのは難しいのだが……」
「明日にでも王都の全貴族に叙勲の知らせを送っていただきます。
これは絶対です。
それと、アウロラが受けるのは男爵ではありません。
最初から子爵です」
「ヴァルナとアウロラでは、能力も働きも全く違うのだが、それでも同じ爵位を与えろというのか?」
「私とアウロラは一心同体の盟友です。
アウロラなしに今の私はありません。
以前は国王陛下や国を立てて遠慮しましたが、今回の件で遠慮の必要など全くないと分かりました。
四の五の言うのなら、父上を戴冠させるべく戦いますがそれでもいいのですか?」
「やめてくれ!
助けてくれ!
殺さないでくれ!
分かった!
全ての条件を呑む!
だが領地を与えるのは無理だ!
自力で確保してくれ」
「分かっています。
魔境の狩猟権だけでも十分伯爵家の体面は保てますが、それだけでは何かあった場合に心配ですから、ラムリー王国から領地を割譲していただきましょう」
マッテオ国王を脅して、欲しいモノは全て手に入れました。
キャーラ王妃は両足首を握り潰して、キッチリと報復しました。
それに両足首を潰しておいたら、ラムリー王国に逃げることはできないでしょう。
後はラムリー王国軍を叩くだけです。
ですが、攻撃を待つだけでは能がありませんね。
「アウロラはどうすればいいと思いますか?」
私は今後の方針をアウロラに決めてもらうことにしました。
マッテオ国王が疑念を呈したのとなじように、多くの貴族士族がアウロラの働きに疑念を持つでしょう。
その口を封じるためには、全ての策略をアウロラが決めたことにして、真の大将はアウロラという事にしましょう。
「ヴァルナ様が戦う決意をされておられるのでしたら、今回の襲撃を理由に、正々堂々と宣戦布告され、ラムリー王国の国境軍城を攻め落とされてはいかがですか?
そうすれば功名だけでなく伯爵家の本拠地とする城も領都も領地も手に入ります」
アウロラはいい事を言ってくれます。
アウロラの言う通りです。
今回の件を理由に宣戦布告をして敵の城と領地を奪えば、敵は名誉挽回のために奪われた城を取り戻さなければいけません。
敵の攻撃場所、侵攻路を限定することができます。
問題は私一人では奪うのは簡単でも、護るのが難しいという事です。
どうやって私に絶対服従の将兵を集めるかですが……
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