第17話
私は怒りに打ち震えていました。
アウロラに恐怖感を与えたこと、安眠を妨げたことは、万死に値します。
その場で皆殺しにしたかったのですが、誰が黒幕か白状させなければいけません。
だからしかたなく手加減しました。
胴体に衝撃を与えて殺してしまわないように、寸止めで両肩を粉砕しました。
逃げられないように、両膝も粉砕しました。
ただ彼らが騎乗していた馬に罪はないので、確保して屋敷に連れて戻りました。
百を超える軍馬を全て世話すのは難しいので、夜が明けたら家臣に商人を呼ばせて、大半の軍馬を売り払わせます。
よく訓練された騎士用の軍馬はとても高価なので、結構な金額になると思います。
「誰の差し金ですか?
正直に言えば楽にしてあげます。
言わなければ、爪を一枚づつ剥がします。
それでも言わなければ、指を一本づつ潰します」
最初は私の言葉をはったりだと思ったのでしょう。
粋がって悪態を吐きていましたが、爪を三枚剥いだところで全てを白状しました。
二人三人と質問しましたが、爪を剥がされた同僚を見ていたからでしょうか、何もしないうちに正直に全てを話してくれました。
最初にキャーラ王妃と話をしなければいけません。
黙認したマッテオ国王にも強く話を聞かなければいけません。
実行したフラヴィオ王には、責任と賠償金を支払ってもらわなければいけません。
話し合いのためには、再び王城に行かなければいけませんが、私が留守の間にアウロラに何かあってはいけません。
だからお姫様だっこして仲良く一緒に行くことにしました。
「ギャァァァァ!」
醜い悲鳴です。
アウロラには眼つむり耳を塞いでもらっていますが、聞かせたくない騒音です。
片手を握り潰されたくらいでうるさいです
「さて、考え依頼した王妃殿下には後でもっと責任を取っていただきますが、黙認した国王陛下にも責任はありますよね?
どう責任を取っていただけるのですか?」
「悪かったとは思っているが、余にも王族を守り国を保ちたいという想いがある。
王妃の提案をむげに断れば、ラムリー王国軍が大挙してやってくる。
それではヴァルナであろうと全てを防ぐのは難しいと思ったのだ。
それよりは選りすぐりの騎士団を刺客として派遣させ、徐々に斃せば民が戦に巻き込まれる可能性が低いと考えたのだ」
「随分と身勝手な言い分ですね。
怒り狂った私が、国王陛下を殺す事は考えなかったのですか?」
「可能性は考えた。
だがヴァルナの強さならそれほど問題はないとも考えた。
これからヴァルナとアウロラは独立貴族として家を興すのだから、騎士達を捕虜にして身代金を請求するのは大切な資金源であろう。
税金は徴収しないし、交渉も手伝う。
だからこのまま迎撃に徹してくれないだろうか?」
「……」
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