第13話
私は正式に子爵に封爵されました。
アウロラも男爵に封爵されました。
王太子の直轄領は私の領地となりました。
のちに国王となり、王国の直轄領全てが手に入る王太子です。
即位するまでの台所領ですから、公爵や侯爵ほど広大な領地ではありません。
私が確保する前は、多くの貴族士族から権利や領地を奪っていましたから、侯爵領を超える広大な領地を直轄領としていました。
ですがそのような権利と領地は、私自身が奪われた貴族士族に返せと国王に命じたのですから、私の権利や領地にできるはずがありません。
ですがまあ、伯爵家の娘が嫁入りに割譲される台所領とは比較にならないくらい、豊かで広大な領地です。
伯爵の領地として恥ずかしくない領地です。
ですが問題はアウロラの男爵領でした。
王家王国に余裕がないのは分かっています。
遠征に参加した父上達に褒賞を与えろと国王を脅したのは私です。
外征に参加した貴族士族の褒賞は莫大なものになるでしょう。
私が殺した王族の権利や領地をそれに与えるしかありませんが、それは王家王族の権力と戦力が半減したことになります。
王太子の不始末に対する詫び料だけと考えれば、アウロラへの領地割譲は抑えて当然なのですが、どうしても苛立ちを感じてしまいます。
ケッペル伯爵家が、アウロラを嫁入りさせるときに与えるであろう台所領と同じくらいの領地なので、私が怒って行っても言い訳できるギリギリの計算をしていると分かるので、なおさら苛立ってしまします。
「ヴァルナ様、私はこれで十分でございます。
私に頂けるものがあるのなら、外征で苦労した方々に与えるべきだと思います」
アウロラは本当に善良です。
私がなりたかった理想の令嬢です。
もう私には戻れない道ですが、いまだに憧れがあります。
それだけに、アウロラには幸せになって欲しいのです。
准男爵にも及ばす、騎士程度の領地では、男爵の体面を保つのが大変です。
ここは王家が飲める範囲で再交渉する必要があります。
また国王の失禁脱糞に立ち会わないといけないと思うと、とても嫌な気分になりますが、アウロラが女男爵として体面を保てるかどうかの大切な交渉です。
絶対手を抜くわけにはいきません。
「ええ、分かっています。
外征に行かれた方々に不利になるようなことはしません。
王家が独占している大魔境の狩猟採集権を、私とアウロラの与えるように交渉するだけです」
「え?
そのそれは王家の大切な資金源ではありませんか?」
「実際に狩猟採集するのは猟師ですから大丈夫ですよ。
実録がない者は獣や魔獣に喰われるだけですから」
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