第14話
「さぁ!
勅命を出してもらいましょうか」
「しかしヴァルナ。
そんなことをしたら王家王国の財政が成り立たなくなる」
「そんなことはないですよ。
どうせ商人に丸投げしていたのでしょ。
それを狩人一人一人に権利を与え、直接税を徴収すれば、今までの倍以上の税金を徴収できますよ。
それに私やアウロラに与える権利も、税の半分は王家王国に収めるようにすれば、私達も王家王国も潤いますよ」
「う~む。
本当に税が倍増するのか?」
「徴税官に計算させればいいのですよ。
徴税官が証人と結託して不正をしていない限り、正確な額を出してくれます。
自分の臣下が信じられないのなら、遠征中の貴族家の家臣に計算させてください。
彼らなら利害が関係しませんから、正直に報告してくれますよ」
私の提案に国王は従いました。
王族が半減し、経済力も戦力も半減しています。
私一人にも勝てない王国です。
外征で血を流し苦しんが貴族士族が帰国してきたら、王家に対する増悪や叛意が激しいでしょう。
それを和らげるには、彼らに苦しみを与えた王太子や王族を処分し、彼らの権利や領地を与えるしかありません。
そんなことは国王も十分理解しています。
それに、どうせ逆らっても私に奪われるか殺されるのです。
外征組の貴族家士族家に残っている家臣に信頼している姿勢を見せて、少しでも歓心を買いたいという下心もあるのでしょう。
それくらい強かで厭らしいところのある国王です。
私、商人、王国徴税官、貴族家士族家家臣に計算させたことで、商人と王国徴税官の不正が明らかになり、処罰されました。
本人が処刑され、家族は奴隷として売り払われ、全ての財産が王家王国に没収されました。
商人と王国徴税官の蓄えていた財産は驚くべき額でした。
魔境からあがる利益がどれほど莫大であったかが分かります。
何年何十年もかけてだとはいっても、王家に匹敵するほどの財産を不正に蓄えていたのですから驚きです。
ですが、それが、一部とはいえ、私の子爵家とアウロラの男爵家に権利が与えられたのです。
抱える猟師の質と量で、伯爵家や侯爵家に匹敵するほどの税収になるでしょう。
私は王家の先を越すべく、今まで商人に搾取されていた猟師をスカウトしました。
金が一番大切な者には、そのまま猟師として領民権を与えました。
地位や名誉を欲する者には、猟師としての収入の大半を領主に納める代わりに、領民権と騎士の位を与えました。
残った収入の中から、騎士に必要な装備を自前で整えなければいけませんから、結構厳しい条件なのですが、それでも希望者が殺到しました。
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