第11話
「ヴァルナ、もう許してもらえないだろうか?」
「はぁ?
何がでございますか、陛下?
私にはとんとん何の事だか分かりませんが?」
国王陛下が詫びを入れて来たが、口先だけの詫びなどいりません。
今更国王陛下に頭をさげられても、私の名誉は回復しません。
隠してきた力を解放した以上、貴族令嬢として普通の幸せを手に入れる事は、もう絶対にできません。
それに、本気で詫びるなら先に誠意を見せるべきです。
愚かな王太子の、いえ、国王を含めた王族の愚行によって、異国に送り込まれ戦わされている父上達を帰国させるべきなのです。
それを先に言わないで、許せと言うのは身勝手過ぎます。
「望みを言ってくれないか。
できる限りかなえよう」
何と自主性がないのでしょう。
これだから自分の子供にいいように操られるのです。
いえ、操られた振りをして、責任を回避して好き勝手しているのかもしれません。
「一つ、父上達を帰国させてもらいます。
一つ、王太子が貴族士族から奪った権利と領地を返してもらいます。
一つ、帰国した父上達に褒賞を与えてもらいます。
一つ、王太子を私に殺させてもらいます。
一つ、王太子の領地は私がもらいます。
一つ、私とアウロラに爵位を与えてもらいます。
以上です」
「それは余りに強欲ではないか?」
強欲?
強欲は王族でしょう。
腐れ外道の王太子が、遠征中の貴族士族の領地や権利を奪い、それを王族にも分け与えていたのは分かっているのです。
それを返す事も、外征という大きな負担に報いる事も、主君として当然の事です。
それを四の五の言うようなら、この場で殺してしまいましょうか?
「ああ、分かった!
そうだな、王族も反省しなければならないな。
だが王家王国にも財政の限界があるのだよ。
まずは責任者である王太子を殺してしまってはどうだ?
そうすればヴァルナの気が済むのではないか?」
私が本気で国王を殺そうとしたのに気が付いたのでしょう。
方針を変えて王太子一人に責任を押し付けて、奪った権利と領地を少しでも残そうとしているのでしょう。
本当に性根が腐っていますね。
次に四の五の言ったら即頭を叩き潰します。
「それは駄目ですね。
王太子は毎日激烈な拷問をかけて、今回の件に加担していた王族貴族を名前を吐いてもらいます。
名前の出た王族貴族は、誰であろうと、そう、誰であろうと王太子と同じ拷問にかけて、真実を語らせますよ」
「あぁぁぁぁあ。
直ぐに全ての手続きをしよう。
王太子が奪った権利と領地は全て返させる。
ヴァルナには子爵位、アウロラには男爵位を与えよう。
王太子の領地はヴァルナに与える。
ヴィリアーズ伯爵達に帰国の使者を送る、直ぐに送る!
褒美に与えるモノもできるだけ早く決める。
だから直ぐに王太子を殺してもらえないだろうか?」
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