第487話 ブロックゴーレムとの再戦

『ゴガァアアアアッ!!』

「おい、冗談だろ!?なんでこいつ、生きてんだよ!?」

「コネコさん、落ち着いてくださいましっ!!このブロックゴーレムは私達が倒したのとは別個体ですわ!!」

「あらあら~……これは流石に想定外ね~」



再びレナ達の前に現れたブロックゴーレムは縮めていた身体を置き上げると、前回にレナ達が倒した個体よりも一回り程小さい個体だと発覚した。但し、それでも体長は5メートルを超えているため、レナ達の中でも身長が高いデブリよりも2倍以上の大きさを誇る。


ブロックゴーレムは通路を塞ぐように立ち塞がり、レナ達に視線を向けると敵と定めたのか真っ先に動き出す。小柄な分、前回のブロックゴーレムよりも身軽なのかブロックゴーレムはレナ達との距離を詰めてきた。



「ゴウッ!!」

「させるかっ!!」



右拳を振りかざしてきたブロックゴーレムに対してデブリは前に出ると、皆を守るために拳を正面から受け止めた。強烈な衝撃がデブリに走るが、彼は歯を食いしばりながらブロックゴーレムの一撃を受けきった。



「ゴオッ……!?」

「うおりゃあっ!!」

「すげぇっ!?」



しかも受け止めるだけではなく、デブリは拳を押し返して払いのける。それを見たコネコは素直に感心した声を上げ、その一方でレナの方も闘拳に付与魔法を施してブロックゴーレムの顔面に目掛けて跳躍を行う。



三重強化トリプル!!」

「ガアッ……!?」



闘拳に付与魔法を重ね掛けしたレナはブロックゴーレムの顔面に一撃を与えると、ブロックゴーレムの巨体が揺らぐ。だが、攻撃を仕掛けたレナの方も右腕が痺れ、やはり物理的な攻撃ではブロックゴーレムと相性が悪く、並大抵のロックゴーレムなら粉砕出来るレナの攻撃を受けてもせいぜい怯ませる程度の効果しかない。


他の人間もブロックゴーレムに対して動き出すと、ナオがブロックゴーレムの胸元に対して掌を伸ばす。同時にコネコもバトルブーツを使用し、風属性の魔石を使って足裏から衝撃波を生み出して加速するとロックゴーレムの顔面にドロップキックを食らわせる。



「発勁!!」

「だああっ!!」

「ゴアッ……!?」



ナオの掌が触れた瞬間にブロックゴーレムの内部に衝撃が伝わり、更にコネコの蹴りを受けた事でブロックゴーレムは後ろ向きに倒れた。それを見たドリスは好機だと判断すると、掌を上に伸ばして巨大な氷塊を生み出してブロックゴーレムへと叩きつけた。



「これでどうですの!!」

「ゴアアアアッ!?」



倒れたブロックゴーレムの胸元に巨大な氷柱が叩き込まれ、ブロックゴーレムは必死にもがいて氷柱を振り払おうとした。だが、先ほどのナオの発勁によって内側から衝撃を受けたブロックゴーレムの肉体には亀裂が走っており、氷柱に衝突した際に亀裂が更に深まる。


亀裂が全体に広がったのを見て攻撃の好機だと判断したレナは右手の闘拳に意識を集中させ、極化を発動させて自分の最大の攻撃で止めを刺すために時間稼ぎを頼む。



「皆、俺が決めるからその間抑えておいて!!」

「よし、任せろ兄ちゃん!!」

「はああっ!!」

「うおおおおっ!!」



レナの言葉に真っ先にコネコ、ミナ、デブリが反応すると倒れたブロックゴーレムの片腕を抑え込む。続けてナオ、ドリスもブロックゴーレムを拘束するために動き、ヒリンも反対の腕を抑え込む。



「こうでいいですか!?」

「レナさんの邪魔はさせませんわ!!」

「さっさとしやがれぇっ!!」

「ゴガァアアアッ……!?」



両腕を押さえつけられたブロックゴーレムは身動きもままならず、必死に両足をばたつかせるがレナの仲間たちを引き剥がす事が出来ない。


その間にレナは意識を集中させ、遂に闘拳に魔力を完全に抑え込むと闘拳の色合いが「黒」から「紅」へと変色させる。実戦で扱うのはゴブリンキング戦以来だが、ブロックゴーレムを倒すためにはこれ以外に方法はないと判断した上での行動だった。



限界強化リミット……!!」

「ゴアッ……!?」



闘拳に限界まで地属性の魔力を封じ込めたレナはブロックゴーレムに視線を向けると、そのまま走り出して跳躍する。それを見たドリスはレナの攻撃の邪魔にならないようにブロックゴーレムを抑えていた氷柱を消し去ると、レナはブロックゴーレムの胸元に向けて拳を振り下ろす。



「喰らえぇえええっ!!」

「ッ――!?」




――大迷宮内に地震の如き振動が広がり、ブロックゴーレムの声にもならない断末魔の悲鳴が響き渡った。レナの振り下ろした右拳はブロックゴーレムの胸元を貫通し、やがて動かなくなったブロックゴーレムからレナは腕を引き抜くと、その手には掌には収まり切れないほどの大きさの「オリハル水晶」が握りしめられていた。




伝説の魔法金属であるオリハルコンの素材となるオリハル水晶を取り上げたレナは額の汗を拭い、闘拳に付与させていた魔力を解除させる。そして自分の手に握りしめられていたオリハル水晶に視線を向け、皆に見せつける。



「……とりあえず、これは帰った後に換金して皆で山分けという事でいいかな?」

「大賛成ですわ!!」



金が掛かる話には商人の血筋のせいかドリスは真っ先に反応し、まさかゴブリンキングの討伐に赴いたのにブロックゴーレムと遭遇するとは思わなかったが、そのお陰で再びレナ達は金貨数百枚の価値を誇る伝説の金属の素材を入手できた。





※没案


レナ「攻撃……からの衝撃解放!!」( ゚Д゚)つズドオオンッ!!

ブロックゴーレム「ゴオオオッ!?」(´Д`)←砕け散る

仲間達「あああああっ!?」(ノД`)・゜・。←砕け散った破片に巻き込まれる

トロール「ふがふがっ」|д゚)!?←実は生存していて壁から様子を伺っていた

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