第129話 襲撃者
「いいのかよデブの兄ちゃん、別に無理してあたし達に付き合う必要はないんだぞ?」
「誰がデブだ!?僕は力士なんだからこれぐらいの体型が普通なんだよ!!」
「分かったよ、これからは力士の兄ちゃんと呼ぶって……」
「けど、本当に何が起きるか分からないからデブリ君は別に無理して付き合う必要はないよ?」
「いや、付き合う!!そもそもお前達が怪我でもして決闘に出場出来なくなったら僕が困るからな!!」
鼻息を鳴らして自分も付き合うと断言したデブリに対してレナ達もそれ以上は何も言えず、まずは何処で尾行者を迎え撃つのかを考える。結局の所、人目を避けた路地裏に向かう事にした5人は速足で移動を行う。
「コネコ、まだ付いてきてる?」
「ああ、気配が5人。ちょうどあたしたちと同じ人数だな」
路地に移動を行うとレナ達は待機を行い、尾行者が訪れるのを待ち構える。都合が良い事に路地を抜けると大きな空き地が存在し、そこでレナ達は待機すると複数の足音が鳴り響く。
コネコの予想通り、路地から5人組の男性が現れ、その中には見知った顔も存在した。その人物の顔を見てレナとコネコは驚いた声を上げる。
「あれっ!?もしかしてあの時の……!?」
「前に兄ちゃんとあたしに負けた盗賊じゃんっ!?」
「へへへっ……久しぶりだな、てめえ等!!」
「え、誰……?」
「し、知り合いなのか?」
現れた尾行者の中にはかつてレナとコネコに掴まった「魔術師」の大男が混じっており、以前に二人が警備兵に突き出して捕まったはずの盗賊で間違いなかった。彼等はレナとコネコに敗れた後、警備兵に突き出したので本来ならば囚人として監獄に送り込まれているはずだった。
どうして捕まったはずの人攫いが現れた事にレナ達は戸惑う中、大男は「
「おっと、動くんじゃねえぞっ!!下手に動けばまたあの時のように痺れさせてやるからな!!」
「皆、気を付けて!!こいつ、こんな見た目だけど魔術師だよ!!」
「魔術師!?」
「あ、思い出した!!こいつ、確か名前はカマンとかいう盗賊だ!!前に警備兵に突き出したとき、指名手配犯の手配書を見せてもらった時にそんな名前が書いてあった!!」
「カマンじゃねえ、カマセだ!!」
コネコは大男の手配書を今更ながらに思い出し、名前は「カマン」と告げると盗賊が怒りを露にして本当の名前が「カマセ」である事をを口にする。カマセはレナとコネコを憎々し気に見つめると、自分の周りにいる男達に命令する。
「おい、てめえ等油断するなよ!!こいつらはガキだが、油断するとこっちがやられる!!特にあの小さいガキは素早いから気を付けろ!!武器を奪われないように注意しろよ!!」
「へい、兄貴!!」
「こいつが兄貴の言っていた奴等ですか?」
「なるほど、確かに兄貴の言う通りに男の癖に綺麗な顔をした奴と、生意気そうな小娘ですね!!」
「何だとこらっ!!」
「こ、コネコちゃん落ち付いて!!」
カマセの配下と思われる男達の言葉に憤ったコネコが駆け出そうとしたが、それをミナが抑えつける。一方でレナは小杖を構えるカマセに視線を向け、前回は不意打ちを突かれて彼の放つ魔法によって戦闘不能に陥ったが、今回は前回と違って既に武器は装備した状態だった。
前回はコネコが助太刀してくれなければレナはカマセに捕まっていた事を思い出し、今回は彼女の力を借りずにカマセを倒すために左手に意識を集中させる。
「おい、動くなと言ってんだろ!!また痺れさせてやろうかっ!?」
「それは勘弁してほしいですね。なら、痺れさせられる前に……
「な、何だっ!?」
相手が魔法を発動させる前にレナは地面に向けて左手を振り下ろした瞬間、紅色の魔力が迸り、カマセの足元の地面が盛り上がる。土砂が盛り上がると槍のような形に変形し、斜めからカマセの腹部に向けて衝突した。
以前にも何度か利用した事がある付与魔法の応用で地面の土砂を重力で操作する事で様々な形に変形させ、攻撃を小なう。この応用法でレナは最初にゴブリンに襲われた時に命拾いした事を思い出し、ある意味ではレナが最初に編み出した付与魔法の技術と言える。
「げふぅっ!?」
『あ、兄貴ぃっ!?』
「よし、成功!!名づけて土槍!!」
「うわぁっ……痛そうっ」
地面から突出した土砂の塊にカマセは苦悶の表情を浮かべ、小杖を落としてしまう。そんな彼の姿を見て配下の男達は各々の武器を取り出し、レナ達へ向かおうとした。
「こ、こいつ!!よくも兄貴を!!」
「絶対に許さねえぞっ!!」
「兄貴の仇を討つ!!」
「草葉の陰で見守ってください兄貴!!」
「ま、まだ死んでねえぞっ……げふっ!?」
下っ端の男達は武器を掲げてレナ達の元へ駆け出し、その姿を見たレナとコネコとミナも構えようとした時、地面に振動が走る。
「どすこいっ!!」
『うわっ!?』
地震を想像させる大地の揺れに全員が驚くと、何時の間にか上半身が裸になったデブリが地面に向けて片足を掲げ、勢いよく振り下ろす。彼が地面を踏みつける度に振動が走り、先ほどまでの気弱な態度とは打って変わって真剣な表情を浮かべると、デブリは男達の前に立ちはだかる。
4人は自分達の前に出てきたデブリの気迫に圧され、そんな彼等に対してデブリは一息吐き出すと、両手を地面に向けて体勢を低くする。そして目を見開くと男達に向けて凄まじい勢いで突進を行う。
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