第49節・波止場の攻防

「ほらほら!! さっきまでの威勢はどうしたのかしら!?」


 高速の連続打撃を放つミクローシュに対してクレスセンシアは守勢に回っていた。

魔術が無効化されるためこの敵を倒すには肉弾戦しかない。

竜である自分ならば肉弾戦でも人間を圧倒できると考えていたがそれは甘い考えだったのだ。

人間は基本的に脆弱な種族だが、極まれに類まれなる才能や力を持つものが生まれる。

彼らは己よりも遥かに強大な種族を倒し、”英雄”と呼ばれることもある。


(だがこやつは英雄などとは程遠いがな……ッ!!)


 まるで丸太のような腕を躱し、敵の腹に拳を叩き込む。

普通なら内臓が破裂するドラゴンパンチだ。

だがこの男の鍛え抜かれた腹筋はまるで鋼鉄のようであり、此方の打撃をはじき返す。


「ええい!! どうやったらそんな馬鹿みたいな体になるんじゃ!!」


「そりゃ当然、気の遠くなるほどの鍛錬をしたからよ!!」


 敵が回し蹴りを放ってきたためしゃがんで回避するとそのまま下から敵の顎を狙って蹴りを放つ。

それに対して敵は上体を逸らして避けると二歩後ろに下がった。


「メフィルって家はね? 弱者が生きていけるほど甘いところじゃないのよ。アタクシは魔術が効かないという長所を持つのと同時に魔術が全く扱えないという大きな短所もあった。だったら魔術なんて全く必要が無いってくらい己の肉体を鍛えることを選んだのよ」


 そう言うとミクローシュはボディビルポーズを取り、全身の筋肉を盛り上がらせた。

まるでガドアの山脈のような筋肉は敵ながらあっぱれと言うしかない。


(いや……感心してどうする……)


「それにても流石は雷竜王ね。最初に顔面を殴った時はあれで頭蓋を砕いて終わらせるつもりだったのに」


「はッ!! 竜骨を嘗めるではないわ!! というか乙女の顔を殴るとかとんでもない下種じゃな!!」


「乙女っていう齢じゃない━━━でしょ!!」


 ミクローシュが跳んだ。

一気に此方の懐に飛び込み、拳を振り下ろしてくる。

それを後ろに跳んで避けると敵は先ほどまで自分が立っていた場所を叩き砕くのが見える。

確かに竜骨は人の骨よりも遥かに堅固だ。

だがあんな馬鹿力で何度も殴られてはいつか本当に砕けてしまう。


「まだまだぁ!!」


 敵は砕いた地面に手を突っ込み、そのまま抉ってきた。

それにより幾つもの岩が此方目掛けて放たれ、慌てて横に跳ぶ。

その際に幾つかの岩が腰や脚に当たり、痛みに思わず眉を顰める。


 着地と同時に敵が再び拳を構えながら踏み込んできたため、此方も思い切って敵の間合いに踏み込んだ。

真っ直ぐに放たれた拳を腰を捻って避けるとそのまま敵の顎目掛けて掌底打ちを放つ。


「ぐ!!」


 見事敵の顎に攻撃が入ったためそのまま横をすり抜け、背後に回り込む。

そして即座に後ろ蹴りを放つと敵は顎に打撃を喰らい、仰け反った状態で強引に旋回してきた。


「あ、マズッ━━!!」


 後ろ蹴りを放った脚を掴まれ、そのまま思いっきり振り回されると投げ飛ばされた。

通りの端にあった荷台に激突し、荷台を砕くと積載されていた樽が頭上に振って来る。


「つ、冷た!?」


 壊れた樽の中から何かがあふれ出し、体に掛ったため慌ててそれが何なのかを確認する。


(み、水か……?)


 どうやら水を乗せた荷台にぶつかってしまったようだ。

妙な薬品などでは無くて良かったと安堵しながら木片や壊れた樽をどかして立ち上がると敵を睨む。

あの筋肉だるまは不敵な笑みを浮かべて仁王立ちをしている。

ああ、腹が立つ。

何故、雷竜王たる自分があんな奴にこんな苦戦をしなければいけないのか!


「いや、頭を冷やせ。いっそ水でも被ってみるか……何か思いつくかもしれんし……ん?」


 ふと砕けた荷台の上に載っている無傷の樽を見る。

ある策が思いついた。

これならば魔術が無効化され、なお且つ馬鹿みたいに強靭な体を持っているあの敵を打ち倒せるかもしれない。


「よぅし、やってみるか」


 口元に笑みを浮かべるとミクローシュに向かって指さした。


「おい、そこの筋肉達磨!! 今から貴様を倒してやるからな! 見ておれよ!!」


※※※


 ミクローシュはクレスセンシアが啖呵を切ると「ほう?」と眉を顰めた。

雷竜王め、何か思いついたか?

見た目こそガキだが中身は強大な力を持つドラゴンだ。

奥の手の一つや二つは持っているだろう。


(さて、守りに入るか攻めに行くか……)


 敵が何をしてくるか分からない状況での選択肢は二つ。

敵の攻撃を警戒し見極めるか、もしくは敵が何かをする前に先制で潰すかだ。

だがこの敵は非常に頑丈である。

無理に攻めても仕留めきれなければ一気に窮地に追い込まれる可能性が高い。

ならば守りを固めたほうが良いだろう。


「何をする気かは知らないけれども……やれるものならやってみなさい!!」


 拳を構えるとクレスセンシアも動いた。

全身に雷を身に纏い始め、大気を振動させる。

そして両腕を天に向かって掲げると夥しい量の稲妻が此方の周囲に降り注いだ。


 稲妻は地面を砕き、爆炎を生じさせる。

あっと言う間に辺りは巻き上がった煙によって包まれ、一寸先も見えない状況になる。


(目潰しか! さあ、どう出る!!)


 耳を済ませ、あらゆる音を拾う。

雷竜王の魔術に巻き込まれた兵士たちの呻き声。

遠くの喧噪。

そして━━。


「!!」


 音がした。

大きな物体が向かって来る音だ。

咄嗟に後方に跳ぶと目の前に砕けた荷台が降り注いだ。

そして更に今度は右から何かが此方目掛けて放たれてくる。


(避けれないわね……!!)


 着地を狙った二段重ねの攻撃。

敵の攻撃を避けれないと判断すると着地と同時に向かって来るものに拳を叩き込んだ。

するとそれは容易く砕け散り、何かを全身に浴びてしまう。


「これは……水……!?」


 投げてきたのは水の入った樽か?

これでは直撃していたとしても大した威力にはならなかったであろう。

もしや更に次の攻撃に繋げるための牽制か?


(いや……。そうか!!)


 魔術も普通の打撃も有効打にならないと判断した雷竜王が取る手。

それは━━。


「━━━━やられたわね!!」


「クフフフ!! かかったな馬鹿めッ!! オラァ!! 死に晒せぇ!!」


 煙の中から雷撃が放たれた。

雷撃が向かう先は此方ではなく近くに転がっている砕けた樽。

そしてそれが意味をするのは……。


「ガアアアアアアア!!」


 雷撃は水を伝い、此方を感電させるのであった。


※※※


 波止場での戦いは船乗りたちが加勢したことによりクルギス軍側が優勢になりつつあった。

メフィルの忍びたちは非常に手練れのため一対一を避け、必ず三人で一人を相手にするようにする。

忍びたちもどうにか味方同士連携を取ろうとするが船乗りたちは上手く敵を分断・孤立化させることに成功していた。


 そんな中一人の忍びが船乗りたちの包囲を突破した。

まずはこの乱戦から逃れ、味方を助けようという判断をしたのだ。

船乗りたちの数が少ない方に駆けると前方にヴィクトリアが現れる。


「小娘がっ!」


 小刀を構えヴィクトリアに突進する。

あれはクルギス伯爵の娘だ。

あの小娘を人質にとれば形勢逆転ができるかもしれない。

幸いあの娘の傍には誰もいない。

自分ならば容易く拘束できるであろう。


「━━それ以上来るなら酷い目にあいますよ!!」


「痴れ事を!!」


 ヴィクトリアが前方の床に小さな瓶を叩きつけた。

それにより瓶が砕け、中に入っていた粉が風に乗って此方に向かって来る。

咄嗟に息を止めるが粉を吸ってしまいすぐに体に異常が生じた。


「あ…あ? ぎ、ぎがががががががが!?」


 突如全身に稲妻が走ったかのような衝撃を受け、痙攣しながらその場に倒れる。

そして泡を吹きながら意識を失うのであった。


※※※


「お、お嬢ちゃん……何をしたんだ?」


 一部始終を見ていた船長のガルシアが顔を引きつらせながら此方を見てきた。

今投げたのは護身用に作っていた痺れ粉だ。

ちょっと体を動かなくする程度の効果だったはずなのだが……。


「え、えっと。死にはしないはず……です。ほ、他にもありますよ!」


 ポーチから他の瓶を取り出してガルシアに突き出すと彼は慌てて「そんなおっかないもんこっちに向けるな!!」と後退る。


「大丈夫です! 吸わなければ何ともありませんよ!」


 吸ったらああなるけど……。

痙攣しながら倒れている忍びを横目で見ながら苦笑する。

とはいえ護身用にしては威力がありすぎるし、こう敵味方が入り交じっている状況だと使いづらい。

もっと改良が必要であろう。


(塗り薬にして吹き矢とかいいかもしれませんね!)


 吹き矢なら力の無い自分でも扱えるかもしれない。

この戦いを生き延びたらユキノさんやミリさんに相談してみよう。


 そう考えていると誰かが「おい! 艦隊が来たぞ!!」と大声で叫び、慌てて沖を見ればメフィル艦隊とは反対の方向から数十隻のガレオン船から成る艦隊が現れていた。

あの方角、そして旗の色。

間違いない。

あれは━━


「お父様の艦隊!!」


※※※


 メフィル艦隊の中央に鎮座する巨船━━ドレッドノートの甲板からクロージャ・フェルナンドはクルギス艦隊が現れたのを視認した。

クロージャは焦茶色の髪を海風に靡かせながら顎髭を摩るとやや感心したように目を細める。


「クルギス艦隊、此方に向かってきます。いかがいたしますか?」


 傍にいた副官にそう訊ねられるとクロージャは口元に笑みを浮かべ、接近してくるクルギス艦隊を指差す。


「当然迎撃する。このドレッドノートを試すにはちょうど良い相手であろう」


 クルギス艦隊はシェードランが所有する海軍の中では最大規模の艦隊だ。

長年メフィル家はクルギス家と海洋交易路を巡って争っており、何度か小規模な海戦が生じたこともある。

今の状況はメフィルにとって仇敵ともいえる奴らを徹底的に叩き潰すチャンスだろう。


「面舵いっぱい! 合図の後、一斉砲撃!」


「おもーかじいっぱーい!!」


 甲板上の兵士や船乗りたちが慌ただしく動き始め、陣形を組むための太鼓が鳴り響く。

ドレッドノートをはじめとしたメフィル艦隊がゆっくりと旋回を始め、クルギス艦隊も旋回を始めた。


「砲、開けー!!」


 号令と共にドレッド―ノートの内部より何十もの大砲や魔導砲が右舷に現れ、敵艦隊を狙う。

さらに甲板上でも魔導士部隊や大砲が敵艦隊が射程に入るのを待つ。


 両軍の艦隊はゆっくりと旋回しながら接近し、やがて並走をし始める。

先に撃ったのはクルギス側であった。

クルギス艦隊より魔導砲や魔術師による攻撃が行われ、甲板上にいた味方の魔術師たちが魔術障壁を展開していく。

敵の攻撃の殆どは手前の海に落ちるか、魔術障壁によって弾かれたが幾つかの火球が戦列を組んでいる味方の船に命中し、炎上するのが見えた。


「動じるな!! あの程度被害の内には入らん!!」


 敵はより有効な攻撃を行うため更に接近してきている。

ドレッドノートから敵の魔術師たちが次の攻撃を行おうとしているのが見えた。

その瞬間、大声で号令を出す。


「一斉砲撃!!」


「一斉砲撃ー!!」


 号令と共にドレッドノートが搭載する74門の砲が一斉に火を噴くのであった。


※※※


 ユキノはサイゾウと向かい合ったまま動かずにいた。

否、動けないのであった。

この男の実力はうんざりするほど知っている。

僅かな隙も見逃さない猟犬。

更に此奴は自分の師匠ともいえる男であるため、此方の手の内は全て把握されていると思っていい。

故に安易に踏み込むのは非常に危険なのだ。


「どうした? そうやって立っているだけでは埒が明かんぞ?」


「そう思うのでしたらそちらからどうぞ」


 苦無を構えながら挑発するとサイゾウが「ではそうさせて貰おうか」と一歩前に出る。

それだけで喉元に刃を突きつけられたかのような感覚に陥る。


 動いた。

右にフェイントを入れてからの左への回り込み。

敵がフェイントを入れてくるのは予想済みであったため即座に敵を正面に捉えるように右足を軸にして回転する。

すると敵は此方が回転しきる前に一気に踏み込んできた。

心臓を狙って放たれた刀の刺突を苦無で受け流しつつ、回転の勢いのまま回し蹴りを放った。


 サイゾウは即座に後ろに下がり蹴りを避けたため、敵を逃がすまいと今度はこっちから踏み込む。

右手の苦無は斜め下から上へ、左手の苦無は刺突を放ち高速の二連続攻撃を行う。


「!」


 サイゾウは刀を逆手に持ち、右手側の苦無を刀で受け、左手の苦無は腰を捻って避けるとそのまま膝蹴りを行う。


(避けれませんか……!!)


 敵の膝蹴りを避ける時間は無い。

ならばと此方も膝蹴りを放ち、互いの足が激しく激突した。

凄まじい衝撃と痛みに眉を顰め、そのままその衝撃を利用して敵から距離を取る。

脚の骨は折れてい無さそうだが痺れて動きが鈍くなってしまっている。

敵も同じように脚にダメージを負ってくれていればいいのだが……。


「どうした? 痛そうだな?」


 サイゾウが再び動く。

敵の素早い動きを見て先ほどの蹴りのぶつけ合いは自分が負けたのだとすぐに判断した。

敵は痺れた脚の側に回り込むと再び斬りかかって来る。


 脚の痺れがまだとれていないため敵の間合いから逃れるのは不可能だと考え、苦無の刃をクロスさせるように構えると敵の振り下ろした刀を受け止める。

互いの刃がぶつかり合い、押し合うことによって鋼が削れるような音が鳴り響く。


「力勝負で勝てると思ってはいまいな!!」


「ええ、当然……です!!」


 咄嗟に左手側の苦無を手放し、体をずらすと敵の攻撃を受け流した。

そして開いた左手で右腕の袖の中に隠していた投擲用の小型苦無を取り出すと敵に向かって放つ。

敵は攻撃を受け流されたことにより隙が生じている。

ここで一撃でも入れられればこの戦い、有利になるはずだ。

だが━━。


「━━甘い!」


 サイゾウが小型苦無を避けた。

受け流された状態から一気に腰を落とし、地面に這いつくばる様な体勢を取ると投擲された苦無を潜って避けた。

そしてそのまま一気に立ち上がり、下から刀を突き放ってくる。


(読まれていた……!!)


 大きく後ずさり、敵の刃から逃れようとするが脇腹を切り裂かれ、鋭い痛みと共に熱い血が噴き出す。

傷口を手で押さえながら大きく後ろに跳躍すると息を整える。

刀傷は結構深い。

早めに止血をしないと少々不味いかもしれない。


 サイゾウは此方の脇腹をじっと見つめ、此方の負傷度合いを確認すると刀に着いた血を振り払った。


「お前に業を教えたのは俺だ。お前の手の内は全て知っている。その意味が分かるか?」


 この男の言う通りだ。

戦い方は全てこの男から教わった。

苦無の扱いも、暗殺の知識も、何もかもだ。

空っぽだった私にあらゆる殺しの術をこの男は注ぎ込んだのだ。

それはつまり私はこの男のコピー品であるということ。

そしてコピー品は大抵オリジナルに劣る。


「……師を超えてこそ弟子であるとも言えますよ」


「無理だ。貴様に俺を超えることは不可能だ。なぜならばお前の業は全て俺の劣化品だからだ」


「…………」


 そうだ。

私の業はこの男の劣化品なのである。

サイゾウという男は弟子や長年仕えてきた部下を信用しない。

そのため彼は弟子に業を教える場合、自分を超えないように”全て”を教えないようにしているのだ。

サイゾウが百点の苦無の扱いをするならば彼は私に八十点しかとれないように業を教える。

彼が全てを教えてくれていないことは昔から知っていた。

だが八十点でも十分任務が遂行できるため、百点を教えろとは思わなかったのだ。


(昔の私にもう少し向上心があれば良かったのですがね……)


 言われたことをただ遂行するだけの人形は自分から師の技を学ぼうとはしなかった。

いや、人形だからこそこの男は私を弟子にしたのだろう。

絶対に人を信用しない男が選んだ弟子は己に従うだけの人形だったということだ。


「まったくもって小さい男ですね。小さな子供だった私がそんなに怖かったのですか?」


 右手の苦無を構え、挑発するように口元に笑みを浮かべるとサイゾウは「くだらん」と言うように鼻を鳴らす。

サイゾウもゆっくりと刀を構えると互いに沈黙し、にらみ合った。

そして互いに再び踏み込もうとした瞬間、波止場で戦っていた船乗りが叫んだ。


「あ、新手だ! 別の艦隊が現れたぞ!!」


※※※


 サイゾウはその声を聞くと一瞬だけ海の方を見た。

沖ではメフィルの艦隊がクルギス艦隊を圧倒していたところだがその背後から十数隻の船が現れていた。


(あれは……メフィルの後詰か? いや……)


 自分の予想通りならば少々厄介かもしれない。

すぐに視線をユキノの方に戻すと彼女は此方に背を向けて駆け去って行っているの見えた。

奴は港の倉庫の方に向かっている。

傷を負ったため戦場から逃げたか?

否、これは挑発である。


「俺がお前を追うと、そう確信しているのだな?」


 奴は此方がクルギスの娘ではなく自分を狙うと考えているのだ。

そしてそれは正しい。

波止場での戦いは遺憾であるが劣勢だ。

これだけ騒いでいればもう間もなく敵の援軍が現れて包囲されてしまうだろう。

ならば……。


「……隙を見て退け。俺は駄犬を始末する」


 近くにいた部下に命じると部下は頷き、離れていく。

クルギスの娘を奪えず、港も制することができなかった。

被害が大きくなる前に部下は撤退させ、そして自分は手負いの抜け忍を始末する。

全ては我が一族の復興のため……。


(いや……違うな。これは俺の”執着”か)


 はっきり言って自分はあの女に執着している。

そして執着心はいずれ隙となり、我が身を滅ぼす災厄となる。

故にここで己の間違いと執着を断ち切るのだ。


「我が選択が正しかったか、それとも誤りであったか。確かめさせてもらうぞ」


 そう言うと刀を鞘にしまって歩き始める。

奴の流した血を追い、全てを終わらせ、始めなおすために倉庫へと向かうのであった。

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