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「お前の魔法を制限しておいたのは正解だったな。お前は魔法で相手にダメージを与えることは考えるな」

頭の中にクエスチョンマークが浮かぶ。なぜ魔法を使ってはならないのだろうか。

「お前が初めに使った風魔法は良くできてた。だが、その後のあの魔法は何だ?まるで制御できてないじゃないか」

「そうですね。あの形でマナを使ったのは初めてでしたし」

「そういう話じゃない。陣の中に魔素を貯めるまでの時間が長すぎるんだ。それでさっき俺は強化の方法を変えた。見えていたから出来たことなんだ」

「そうですか…」

やはり、僕には魔法の才能はないのだ。あの魔法使いの様にはなれないらしい。

「まあ、魔法の話はここまでだ。ここは錬金工房だしな。さあ、なぜ俺は武器を使った実践を行ったと思う?」

「それは、武術の訓練のためだとばかり」

だって、やってることタイマンだもん。

「まあ、それもあるが、そうじゃねぇのは分かってるようだな。今、錬金術で主に作るのは生活に使う魔道具よりも、戦闘に使う武器だ。武器を作るにはその武器の使い方や特徴を知って、その短所を薄くしたり、長所を更に伸ばしたりするためだ。オーダーメイドなら尚更、個人に見合った性能が引き出せるように作らなければならない。それは実際の使用感が無いんじゃぁ極められねぇ」

「なるほど」

確かに大鎌も使い方自体は本に載っているが、それ通りに使うわけではないし、戦闘では一瞬の判断が勝敗を左右する。道具に気をかけている暇はない。

「だからこれからの実践はあらゆる武器の使用訓練だ。元々この工房にこんな鍛錬場があるのは作った魔道具の使用実験をするためだしな」

つまりこれからの実践はだのおっさんのシゴキは一時的に終わり、練習という形になる。

「それと、聞きてぇことがあるんだが」

「何ですか?」

「この工房には鎌に特化して訓練してたやつがいないんだ。それでこれから工房の野郎に指南してほしいんだ。正直、俺も本で読んだ程度しか知らねぇし、そもそも鎌自体の依頼も少ねぇしな」

 鎌は死神を連想させる武器であり、人々からは敬遠されることが多い。よって使い手も少ない。だから依頼も少なくなるってことか。でも逆にその分、鎌の勝手を知る人も少ないので、戦闘では情報量の差で鎌使いが勝つことが少なくなく、それが更に死神の悪評を煽り不安を煽る形になっているというのが現状である。

 だが、僕が大鎌を好んで使っている理由はそうではない。単純である。あの夢で見た魔法使いが大鎌を振るっていたからである。だが、僕が普段使う大鎌は大人の背丈ほどの大きさがあり、今の僕の背丈で通常の大鎌を振るうのは非常に難しいのであるため、保険としてお父様から短剣も使えるようにしようと提案されていた。

「はい。教えられることがあれば何でも言ってください」

「じゃあ、そのうち頼むよ。それじゃ、大剣を持て、俺が一番得意な武器だ。それから指南してやろう」

 そうして、それからずっと武器を変えながら訓練は続いた。

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