13
僕が目を覚めると手の中、いや腕の中にはマキナがいた。落ち着いたようにスヤスヤと眠っている。僕はその姿に見とれてしまい頭を撫でた。すると背中の方、この部屋のもう片方のベットのある方から声がする。
「お二人は主人と従者の関係では無かったのですか?」
そして、その声はさらに続く。
「もしかして、精霊にそんなこと頼むなんて…」
頭だけで振り返るとそこには明らかに作りであるが驚愕の表情をしたルリがいた。
「いや、そんなこと一つも頼んでないから」
素直に真顔で反論する。すると胸の中で「う~ん」という声がする。恐らくマキアが起きたのであろう。そちらに顔を戻す。
「おはようございます。マスター、…?、…!」
自分の置かれている状況を冷静に判断したつもりのマキナは手を僕の背中に回してくる。それを見て唖然とするルリ。
それにより、正しいことを理解したマキナ。頬を真っ赤にして訴えてくる。
「べっ、別に、勘違いだから、です」
僕にかぶさっていた毛布を全て奪い、くるまる。もごもごした声でまだ何か言っている。
「と、というかなぜ、マスターは私のこと…。」
そのくるまった毛布を回転させながら開く。すると、持つ毛布を失ったマキナは両手を遊ばせていた。
「違うから、それは勘違い。まさか寝てる間に勝手に勾玉から戻るなんて知らなくて」
「勝手に戻ることなんてありません!」
「?」と疑問が生まれる。今までも勝手に出てきたじゃないか。僕の体を勝手に使って、魔法陣を展開して?多分、夢の中ででもしようとしたのだろう。深く考えても分からないしめんどくさい。
「ごめん。多分夢か何かでも見ていたんだろう」
「まぁ、マスターがそういうならそうなのでしょうけど」
「じゃあ、ご飯食べに行こうか」
と僕たちは食堂へ向かった。
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