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 そのまま地面を這うように寮まで帰ると食堂に直行し、一気に食べられるだけご飯を詰め込んだ。アキ姉さんは見た目には似つかず、料理が凄く美味しかった。食堂のテーブルには元首輪の少女とマキナが座っていた。そう言えば、まだ元首輪の少女の名前を聞いていない、話すときに普通に不便なので聞く。

「君、名前はなんて言うの?」

すると、少女は食事の手を止めて答える。

「ゴミ?豚?能無し?役立たず?ビッ…」

「もういいよ…」

聞くに堪えない言葉が並んだのでやめる。少女の親がとんでもない糞野郎だってことがとりあえずたっぷりと分かった。いつか吹っ飛ばしてやりたい。

「そうじゃなくて、名前だよ。姓名とか」

「知らないよ?いつも呼ばれてたのは、さっき言ったやつとかだから」

「でも、そうは呼べないよ」

するとマキナが会話に割り込んでくる。

「じゃあ、マスターが決めればいいんじゃない?」

ああ、なるほど、と少女は頷いて、お願いしてくる。

「では、ローグ様。私に名前を下さい。そして貴方に主従を誓いま…」

「誓わなくていいから。でも名前は決めないとな。えーっと」

少し考えこむ、名前は人の人生を縛るものだから適当に決めるわけにはいかない。

「じゃあ、エルトア=ルリにしよう。僕の家の苗字を与えることは出来ないから文字ってエルトア、下の名前は雰囲気でってだけだけど貴族以外は二音以上の名前しか認められてないし」

「はい。では今日から、エルトア=ルリと名乗ります」

と満面の笑みで言い放ったルリはそのままアキ姉さんとおっさんに自分の名前を教えに行った。おっさんは親指を僕に向かってたて、アキ姉さんは微笑みをくれた。喜んでくれたようだ。

 そんな調子でまた食事に戻ろうとすると向かいに座っていたマキナの体が揺らめいた。すぐに体勢を持ち直したがふらふらしている。不安に思い、隣に腰かける。

「大丈夫か?マキナ?」

「ちょっと、頑張りすぎちゃいましたかね。もう体が動きません」

「マナ切れか?」

「いえ、違います。純粋に生気が無くなっただけです。人型ですが、精霊の類なので」

ふぁ~あ、と大きなあくびをして寝てしまった。僕にもたれかかる形で。何となく寝ているマキナの頭をなでる。すると、マキナは勾玉の形に収束してしまった。僕はそれをポッケに入れて、食事を続けた。

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