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貴族街を出ることが危ないことだと分かっていたので平民街の方へと走らなかったが、それでも、貴族街は広い。ここが何処かなんて分かる訳も無かった。
そしてそれから、当てもなくぶつぶつと独り言を漏らしながら歩いていた。
「なんで、こんなことになるんだよ」
何故かなんて理由なんてないことを知ってるのに
「神様の加護なんて、嘘っぱちだ」
それをついさっきまで信じていたはずなのに
「ずっと僕ばっかり、こんな目に」
決して不幸なことなんて今まで無かったのに
「もういっそのこと…」
「なんてばかばかしいことを」
すると後ろから真っ赤な黒髪の少女が話しかけてきた。赤を基調とした黒色のドレスを纏い、勾玉のようなデザインが刺繍された布を首輪のようにつけている。
「きみ相当に病んでるね。私と一緒に来ないかい?いいことしようじゃないか」
「誰だ?君は」
「僕かい?僕は君の救世主と言ったところかな」
「救世主?」
「ああ、君を救う存在だ」
臭すぎて笑える。誘拐犯でももう少しうまくやるだろう
「うさん臭すぎるよ。もっとましな誘拐の方法は思いつかなかったのか?」
「そうではないのだよ。君のことを思ってのことなのだよ」
なぜか話していると、少し気持ちが晴れたような気分になった。
「そうなのか。でも僕からすればまだ不信感が拭えたとは言えないんだけど」
「全くのその通りだね」
「自覚しているのか」
「ああ、その上での提案だ私についてこい」
「嫌だな」
「ならせめてこれだけでも受け取って下さい」
その少女がそう言うと魔法陣を展開して、僕に何らかの魔術を施した。僕は勝手に発動された【解析】でその少女について調べていた。
《結果》 精霊・???
すると、遠くからお母様が探している声が聞こえた。何かしてもらった覚えはないが何となく感謝しようと思って振り向くとそこには誰もいなかった。
そして僕はお母様に見つかり、家に帰されることとなった。家に帰ったらポッケに赤い勾玉が入っていた、その美しさはこの世ものとは思えない様なものだから、それ以来、お守りとして持ち歩くことにした。赤色はかの英雄に仕えた魔法使いクロス=アキナの象徴であり、守られている気がした。
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