3部屋目

ガチャン。


今までよりは軽めの音が響き渡り、ドアが閉まる。


次のドアまで一直線なのは変わらなかったが、そこまでにカーペットが敷かれていた。


金で縁取られた、いかにも高級そうな物だった。


天井にはシャンデリアがあった。

今までで1番明るく、また、私にとっては明るすぎる代物であった。


カーペットの上を、なんとなく強張りつつ歩いていると、道幅が急に狭くなった。


ぼんやり歩いていたから気付かなかったが、両脇に部屋が出来ていたのだ。


真後ろを振り返ると、そこには壁しかなかった。


壁は何も喋らない。


両方の部屋から楽しそうな声が聞こえる。

私はそこで、初めて部屋の物に興味を持った、ということになる。


左側の部屋からは、しきりに大きな笑い声が響き渡っている。

中に入りたい。そう思い、ドアノブに手をかけた刹那、


ドアノブが溶け出してしまった。


水のような流動体となったドアノブは、指の隙間をするすると落ちていった。


これじゃあ、ドアを開けることはできない。


ドアが変色し始め、気味の悪い形容し難い色となった。


ドアノブが無くなったからだろうか。


私の知ったことではない。


右の部屋に入ろう。

と思ったが、右の部屋は無くなっていた。


いや、通ずるドアが無くなっていた。


どうやら、やっぱり真っ直ぐに進んだ先にあるドアにしか入れないようだ。


私がその事に気づいたのを察知してか、ドアが目前に迫っていた。


気づかなければ、圧死していたかも知れない。


いや。死なないか。死なないさ。


再び重い鉄のドアだった。


…ガチャン。

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