【フランケンシュタイン創作話!!作者の人生のがよっぽどドラマっていうか波乱万丈!?】



みんなはフランケンシュタインって知ってるか?



ゴシックなホラーの典型だよな!!



あらすじはこんなだ。



とある男が北極圏近くの寒い海で遭難していた。



新たな航路開拓の冒険に出ていた船に救助される。



その男は疲れ果てていたが。



船長はその男がやけにインテリだってことに気づき。



こんな世界の果てみたいなところに何で一人でいたのか?と、事情を訊いた。



その男は船長に恩義と友情を覚えていたので。



自分の人生を語り始める。



自分の名前はフランケンシュタイン。



資産家の息子であり科学者であり、復讐者だった。



フランケンシュタインは科学者で、彼はかつて神秘的な実験を行っていた。



罪深くもある。



神さまみたいに生命の創造を行った。



ワクワクしながら作っていたが。



完成したのは醜く巨大な怪物だ。



嫌悪感に襲われたフランケンシュタインは、その怪物を捨てて旅に出る。



しばらくして。



自分の幼い弟が殺されたことを知る。



そして、美しくやさしい従姉妹が深く悲しんでいることを。



フランケンシュタインは地元に戻ると。



犯人が自分の作った怪物だと気づいた。



だが。



犯人とされたのは気のやさしいメイド的な人物。



メイドはやさしくて健気で、殺された弟を可愛がっていた。



フランケンシュタインと従姉妹は、メイドは犯人じゃないと主張するし、メイドも犯人ではないと宣言するが。



メイドの服から殺された弟のペンダントが出てきた。



それを証拠とされて。



けっきょくはメイドは死刑になる。



弟も昔馴染みのメイドも死に。



悲嘆にくれるフランケンシュタインは、やがて怒りを覚えた。



怪物を倒そうと考え、山に向かう。



フランケンシュタインと遭遇した怪物は。



自分の悲しい物語を聞かせた。



怪物はあまりに醜い姿に自分でも悲しんでいた。



だが知性的な存在でもある。



怪物は醜さから人々に追いやられた。



孤独にさいなまれ、盲目の老人がいる家庭の近くに潜み。



彼らの暮らしから貧しさや悲しさ、言葉や文字。



そして家庭愛や、世の中にある不幸を知る。



怪物は家族のために色々と影ながら援助をする。



そして、あるとき。



盲目の老人に自分は彼らと友情を築けるかを聞くのだが。



老人は築けるはずだと答えたものの。



老人の家族は怪物の醜さに恐怖し、追い出してしまった。



怪物は悲しんだ。



そして、孤独に生きながらも。



ときどき人を助けた。



だが、川で溺れた子を助けたとき。



善行をしたはずなのに銃で撃たれてしまった。



怪物はフランケンシュタインを恨むようになった。



自分を捨てて孤独にした。



自分をこんなに醜く作り。



自分がこれほど苦しむ原因を作った男なのに。



怪物は孤独の苦しみの果てに一つのアイデアを持った。



無垢な子供なら?



自分を嫌わず、仲間となってくれるのではないか?



そんな考えから、あるとき可愛らしい男の子を見つけて。



誘拐しようとするが、罵詈雑言をぶつけられた。



自分は領主であるフランケンシュタインの息子だ!



どこかに行ってしまえ怪物め!



怪物はフランケンシュタインの弟と出会ってしまっていた。



造物主であり憎しみの対象であるフランケンシュタイン。



その弟であることを知ると、殺意が生まれた。



怪物は弟を殺した。



そして。



夜中、たまたま近くの小屋で休んでいたメイドを見つけた。



自分が持つことの出来ない美をメイドの中に見つけると。



メイドのことが憎くなった。



殺した弟から奪っていたペンダントを、メイドの服にしのばせた。



罪を着せるために。



八つ当たりのようなものだった。



フランケンシュタインはすべてを知り激怒するが。



怪物は自分がやさしさを失ったのは。



孤独のせいだと解く。



そして。



怪物は自分と同じ怪物の妻を作れと要求した。



そうすれば、自分は彼女とともに永遠に人のいない土地で暮らすと。



フランケンシュタインはそれをしぶしぶながら承諾する。



そうしないと殺されるかもしれないと考えたからだった。



家族と美しい従姉妹と離れて。



友人とともに遠くの国へと向かい。



そこで怪物の花嫁を作りかけたが。



約束を破り、完成間近で壊してしまった。



怪物が繁殖してしまうと、人類の脅威となると考えた。



怪物は怒り、フランケンシュタインを苦しめると誓う。



怪物はフランケンシュタインの親友を殺した。



そして、フランケンシュタインは親友殺しの罪の容疑者となる。



やがて誤解は解消され、疲れ切ったフランケンシュタインは故郷に戻る。



弟とメイドを失い、そして故郷から旅立ったフランケンシュタインを想い悲しみに暮れていた従姉妹。



彼女はフランケンシュタインが他に恋人がいるのだと考えていたが。



フランケンシュタインは彼女を愛していると告白し。



彼女と結婚する。



だが。



怪物はその結婚式が行われた夜に、花嫁となった従姉妹を殺した。



フランケンシュタインは絶望し、激怒する。



フランケンシュタインの父親も、美しくやさしい花嫁が死んだことで絶望して、悲嘆の果てに死んでしまった。



フランケンシュタインは弟も花嫁も父親も親友も失った。



フランケンシュタインは怪物への復讐を誓い。



財産を持って故郷を旅立つ。



怪物は常にフランケンシュタインの先を行き。



付かず離れずの距離感で逃げ続けた。



フランケンシュタインがあきらめないように、わざと居場所を告げたりした。



怪物もこの孤独な追跡劇をフランケンシュタインに強いることが。



フランケンシュタインへの復讐だった。



フランケンシュタインは北極に逃げた怪物を追いかけるが。



遭難してしまい、冒頭の船に助けられた。



その物語を船長に話して。



フランケンシュタインは力尽きてしまう。



花嫁と家族と親友がいるあの世に向かうことを喜びながら。



船長に怪物を殺してくれと頼みつつ…。



夜になるとフランケンシュタインの遺体のそばに怪物が現れ泣いている。



船長は怪物と最後の話をする。



怪物は悪だと非難した。



怪物は自分の苦しみを語る。



孤独に歪んだが、自分はかつて善良であり。



これほどの悪に堕ちたことそのものが絶望的な苦痛であり、生きていることは苦しみでしかないのだと。



怪物は船長に告げる。



自分はもう何も悪いことはしない。



北極で自分を燃やしてしまうからと。



そして、怪物は船から旅立つ。



北極圏へと消え去り、物語は終わる……。





この大作を作ったのが、18才の少女だってんだから。



なかなか才能の違いというものを見せつけられてしまうな……。



作ったのはメアリー・シェリー。



年齢もなかなかスゲーが。



彼女の人生そのものがスゲーんだよな。



メアリーがフランケンシュタインを書けた理由は。



人生がかなり悲惨だったからかもしれない。



生まれたとき。



母親が亡くなった。



政治的に進歩的なタイプの父親(19世紀に女性の権利うんぬんについて熱く主張するインテリ)に、非公式ながら高度な教育を受けた。



16才のときに詩人の男と出会い、恋に落ちるんだけど。



この恋人は結婚していた相手がいた。



不倫だな。



なお、出会って即日か翌日に。



墓場で初体験を済ませたとかなんとかの伝説もある。



さすがはフランケンシュタインの作者なのか。



もっと場所を考えてして欲しいもんだな、他人事ながら。



しばらくして。



メアリーは妊娠して出産するが、その子はすぐ死んだ。



父親は略奪愛を展開したメアリーを追放する。



貧乏なカップルは、親友の女を頼った。



親友の女は有名な詩人のバイロンの不倫相手の愛人で妊娠中で、正妻から訴えられていたりする最中だった。



どいつもこいつも不倫しかしていないビックリな交友関係だな。



もちろん世間体が良いはずもないし、こいつらみんなでしばらく引きこもることにした。



無一文カップルは親友女子経由でバイロンさんにパラサイトして。



長雨の降るお家のなかで、みんなで怪談大会を開いた。



このときメアリーが作ったのが。



フランケンシュタインだ。



なお。



この催しのときに、吸血鬼の小説も誕生していて、のちのドラキュラやら何やらの吸血鬼ものの始まりでもある。



吸血鬼キャラは山ほどいるから言うまでもないが。



フランケンシュタインも多くの影響を後世に与えているからな。



フランケンシュタインはSFホラーの祖の一つでもあるし、無敵で醜く悲しげな人造人間の祖だ。



拡大解釈すれば。



フランケンシュタインはバイオハザードやらゾンビやら仮面ライダーとかの原点のよーなもんだ。



SFホラーのジャンルって、フランケンシュタイン要素の入っていないポイントを探すのが難しいレベルかもしれん。



それくらいフランケンシュタインの完成度と。



物語としてのテーマが持つインパクトはすさまじい。



とんでもない、怪談大会だったわけだ。



なお。



この怪談大会は『ディオダティ荘の怪奇談義』として有名である。



人造人間と吸血鬼という二大ホラーの源流だったのもドラマだが。



じつは、ディオダティ荘の怪奇談義そのものが怪談視されちゃってもいるんだぞ。



なぜならば、この前後に多くの死があるからだ。



メアリーは怪談大会の前に初めての子を失い(喪に服すよーなときにフランケンシュタイン書いてるとか病んでるっちゃ病んでるよな……っ)。



姉は服毒自殺。



メアリーの恋人の妻は、入水自殺。



なお、この妻さんは、旦那じゃないヤツの子を妊娠中だった。



また不倫に不倫を重ねた不倫キャラだ。



さらに。



メアリーの産んだ次女と長男死亡。



怪談大会に参加していた医者、自殺。



バイロンとメアリーの友人の娘、5才で死亡。



メアリーの恋人、ヨットの転覆で死亡。



バイロン、36才で死亡。



……フランケンシュタインと吸血鬼を生み出した怪談大会は、不思議なほどに死人を量産することになった。



鬱案件だ。



メアリー・シェリーは、何かもうハードでユニークな人生だったせいか。



作風は鬱っぽい自分の人生を反映したもんじゃないかと言われているぞ。



子育て・出産に失敗する=フランケンシュタインのことだよな。



愛情のために無一文になるキャラクターも出るが、不倫して妊娠してパパ怒らせて無一文で追放された自分のことだろーな。



死にまくる家族とか、蔑まれる視線を向けられるとか、かわいそうなことに得意分野だった。



善良で姉妹のようなメイドが死ぬとかフランケンシュタインの妻となる従姉妹が死ぬとかは、自分の父親違いの姉の服毒自殺とか反映されてそうだ。



あと。



メイドの名前、正義って意味のジュスティーヌだっりするしな……っ。



なんかこう、作風的にはファンタジーさ少なめなんだけど、ところどころ変な作者の感情移入がドロドロって出てくる感がある。



心が美しくても、見た目や外聞から来る偏見と差別を浴びれば人は悪に堕ちるまで歪むんだ、とか。



他人から冷たくされたら悪人になるわい、とか。



こんな人生を送っている人が書くと説得力というか、生々しさがあるわ。



フランケンシュタインを読むと。



罪悪感とか鬱とかコンプレックスとか、罪からの言い逃れの達者ぶりなんかを感じられるな。



SF的なホラーでもあるけど。



メアリーの絶望とタフさ、創作活動を使った心の内の吐露を感じさせてくれるぞ。



とんでもなく悲惨なハナシではあるが。



名作だから一回読んだりするといい。



みんなが知ってるマンガとか、アニメとかゲームのキャラクターとかの源泉とかを知れるだろうよ。



ちなみに。



フランケンシュタインは、怪物の名前じゃなくて、元々は、怪物を作った科学者のことだってことは、覚えておくといいぞ!



知らないヤツには自慢できるかもな。



なんか、フランケンシュタイン=怪物になってるもんな、いつのまにやら。



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