【アリになりすますクモは300種類いる!?圧倒的にアンフェアなバトルしてやがるぞ!?】
みんなはクモ好きか?
私はウルトラにキライだな。
巣を張るヤツもイヤだが、そこらを這い回る大型のクモさんが大嫌いだぜ……っ。
キライというか、もう怖いんだよな。
クモに関してはスペック高すぎな能力があるから、その点に関しては楽しいんだけど。
クモそのものはキライなんだよなあ……。
まあ。
キライだけど、面白い科学的な雑学の宝庫ではあるんだよ。
自然界にはさ、ある種の生物たちのあいだに共生関係とか、あるいは一方的に搾取されるものとするものの関係とかある。
美味しい蜜を出す代わりにアリに守ってもらうイモムシとかな。
まあ、研究が進むと、その蜜は一種の麻薬的な効果があって、アリさんを依存症にしているとかの怖いことも分かったりするんだが……。
かつては共生関係にあると思われた行動も、ふたを開けるとエグいロジックがあったりするから科学て面白いやら怖いやらだ。
アリさんは数が多くて社会性がある動物だから、観察しやすくもあるし、フェロモンとかの化学物質に対してコントロールされる性質もあるから。
研究が進みやすい。
他の生物たちも、今より研究が進めば明らかになる真実とかもあるんだろうけどな。
さて。
本題だ!
南米のハエトリグモ(ちっさくてピョンピョン跳ねるクモだ)にはイヤな能力を持っている奴らがたくさんいるが。
その中には狂暴なハキリアリさんの巣に、単独で乗り込んで、アリの幼虫や卵を食べまくっているハエトリグモがいる!
アリってのは基本的に狂暴だし、圧倒的な数がいるから強い。
群れで襲いかかってくるから、大型昆虫どころかハ虫類とか哺乳類も食い殺すことがあるわけだ。
そんなアリさんが厳重に守っている巣のなかに。
ハエトリグモのヤツは単独で侵入する。
ハエトリグモのサイズはアリさんとそう変わらないサイズだし、大型の兵隊アリのアゴに襲われたら即ゲームオーバーだ。
それでも、ほとんどの場合でノーダメージなんだよ。
侵入して幼虫や卵を食べて、巣から脱出している!
どーしてか?
アリに化けているからだ。
もちろん、姿を似せるわけではない。
ハエトリグモはアリのにおいをもっているから、アリから攻撃されないんだ。
アリたちをコントロールしているのは、視覚よりも巣のにおい。
それがアイデンティティーになるようだ。
アリは違う巣のアリと戦争を繰り広げることもあるが。
そのときの敵味方の識別は自分達のにおいである。
なお。
においが似ているときは、相手側の巣に合流して、そこで働きアリなら働きアリらしく暮らしたりと、自分の役割を巣を変えてもしているらしい。
ほとんど似ているにおいだろうしな。
そこらのアリの群れの多くは女王が近親者だろうし、アリのほとんどは女王の劣化クローンだから。
姉妹より遺伝子近いようなやつらばかりなんじゃなかろうかな。
とにかく。
アリは自分たちと同じにおいをするヤツらを仲間と認識するんだよ。
じゃあ、ハキリアリの巣に入れるハエトリグモはどーしてアリのにおいを出しているのか?
自前で合成しているわけじゃないぞ。
じつは親の世代からの行動だ。
ハエトリグモの一種はハキリアリの巣で生まれる。
そして、巣のにおいがついたハエトリグモはアリの幼虫や卵を食べて育つ。
その結果として、全身からアリのにおいがするようになるわけだ。
そのにおいを持っているあいだは、アリに攻撃されない。
だから定期的にアリを食べては、アリの巣に自分の卵を産み付けている。
アリをエサかつ用心棒にしているわけだ。
アリ側にはまったくもってメリットがないよな。
多機能を持っているクモたちには、このケースのようにアリに化けて、アリを利用しているクモが300種類も見つかっているんだぞ。
なんかもう、クモってやっぱりコエーよなあ。
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