【ブンチョウはピカソさまの絵が好きだと!?……キュビスム好きな鳥類て……っ!?】


皆、鳥のこと好きか?

 


私はそこそこ好きだな。


 

空を飛ぶ動物ってトコロに、ワクワクを感じる♪

 


それに。

 


鳥類学者とかは、他の動物系の学者に比べて、なぜかカッコよく聞こえるような気がするよな……。

 


昆虫学者よりも、確実にカッコいい気がしている。

 


フンコロガシ研究者よりも、ツバメの研究者とかの方がモテそうだよな。

 


どっちも、おそらく人類には何の貢献もしないんじゃなかろうかって研究ではあるが、学問は知的好奇心を満たしてくれればいいのかもしれない。

 


まあ、フンコロガシだって、きっと何か神秘的な要素とかあるかもだしな……。

 


さて。

 


本題だ。

 


キュビスムって知っているか?

 


ピカソが書いてるよーな、何だか分からん絵のことだ。

 


抽象的で不思議な感じだな。

 


雑に説明すれば、あれは四次元やモデルの意味を表現しようとしている絵だぞ。



ピカソが活動を開始していた時代には、もう絵画って一つの行き詰まりを迎えていた。



題材がないし、カメラっていう究極の写実主義が誕生していたからな。

 


モデルをそっくりに書き写すだけなら、カメラに負けるんだよ。

 


絵描きたちは大きなライバルにぶち当たったわけだが、ピカソたちは絵じゃなければ表現できない芸術を発明したな。



見たままに書くのではなく、右向いている顔と正面を向いている顔とか、複数の時間における動きを同時に書いた絵とかな。



そーすることで、二つの時間にある映像を絵として同時に表現できた。

 


三次元的な立体情報を越えて、時間という四つ目の要素を取り込んだ四次元的な絵ってことだ。



あとは、「嘆き」とかを表現したければ、その人物の体をグチャグチャに描く。

 


嘆きの大きさで壊れてしまっている、崩れてしまった様子がグチャグチャに人物が歪んでしまっていることで表現できるな。

 


「時間が粘る」=ゆっくりと流れる、怠惰なイメージを出したければ、「溶けかけた時計」とかで表現も可能。

 


そーいうのがキュビスムだ。

 


……ムズカシーか?


 

そうだろうな、絵画的な天才以外には説明が必須らしいぞ……。


 

フツーの感性では、ピカソの絵を見たら「ナニコレ?」ってなるはずだ。

 


でも、絵画的な才能が本当にある人は、初見でも「スゲーっ!!」って思えるらしい。



絵画的な才能がない私には、文章による説明が必須なんだがな……。


 

どういう視点で楽しめばいいかを教われば、ふーん?ぐらいには鑑賞できるようにはなる。


 

……このキュビスムな。

 


じつは、ブンチョウが好むらしい。

 


ブンチョウどもに、ピカソの絵と、日本の浮世絵と、印象派の絵(淡くてキレーな風景画とかだ)を見せたところ。

 


ピカソの絵の前で、ブンチョウがじーっと止まっている時間が最も長かったそうだぞ。



全鳥類がピカソの絵を好むかは不明だが、少なくともブンチョウは他の芸風に比べて、キュビスムのファンらしいということが実験で証明されたのだ。

 


……アホな研究?

 


そうかもしれないな。

 


どーしてキュビスムをブンチョウが選んだのかは不明だが、推測はいくつかある。


 

一つは新奇性だ。

 


鳥は求愛の踊りにしろ、求愛の鳴き声にしろ、飽きっぽい性質を持っている。

 


だからこそ、少しばかりの工夫が必要となるわけだ。

 


変な踊りをがんばる鳥たちは、変な動きをすることでメスに少しでも長く「ナニコレ?」と思わせたいんだよ。

 


あとは色合いや描写が単純に好みであった、とかだろうと考えられている。

 


鳥は実験のために学習を施せば、ピカソの絵の特徴を把握することも可能だな。


 

ピカソの絵のコピーをくちばしでツンツンすれば、オヤツがもらえるよーな訓練をしていくと。


 

ピカソとルノワールとか他の画家たちの絵を連続で見せても、ピカソの絵にのみ反応するようになる。

 


この実験はハトで行われたんだが、ピカソと似たよーな芸風の絵をたくさん並べて、その中にハトにとっては『初めて見るピカソの絵』を混ぜたりしてもだ。



なんと、ハトさんは、ピカソの絵を選びやがった。

 


鳥というのは、絵の質を理解する審美眼の持ち主であることが証明されたわけだな。



私……ハトに負ける可能性を感じて、ビビったぞ……っ。


 

テキトーな実験で訓練されていて、100%の本気でもなさそーなハトさんでさえも、ピカソを見分けるようだ……。


 

勝・て・ん……。

 


鳥に対して抱える劣等感が一つ増えてしまったな。

 


ちなみに。


 

鳥たちはピカソの絵に特異的な反応を見せるわけじゃなくて、仕込めばルノワールの絵も見極めるようだ。


 

ハイスペックだな……。



なお。


 

鳥以外にも、ピカソやルノワールの絵を見分けるように特訓した生物もいる。


 

ミツバチだ。

 


ミツバチさんでも、ピカソやルノワールの絵を、他の画家の絵と区別して認識することが出来たそうだ。

 


……我々は、意外とアホなのかもしれんな。

 


まあ。


 

じつは『似たような形を区別する能力』というのは、人間より他の生物たちが優れていることが多い。



メダカとかでさえも、人間よりもそういった能力は高いんだぞ。


 

人間には区別のつきにくい酷似したドット絵を見せても、百発百中でメダカさんは選んだりする。


 

目玉の能力が高いというよりも、『似た形を区別する能力』そのものが人間よりも高い生物がそこそこいるようだと考えられている。

 


まあ、メダカさんはメダカを識別するわけだろうからな……。



私にはメダカの違いとかよく分からんし……。


 

鳥だって、何万羽もいる鳥の群れから、つがいのパートナーを見つけだしたりするもんな。

 


鳥なんて、どれも同じにしか見えないが、見つけている事実があるので、区別しちゃえるんだろうよ……。



人間は意外と区別する能力が低い種類の動物なのかもしれない。


 


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