【薬品が効く理屈!?……ぱ、パズルゲームとおんなじだと!!?】
みんなは薬が好きか?
……誤解を招く言い方だったか。
危険ドラッグとかじゃなくて、フツーの医薬品だ。
消毒薬でもいいな。
あれって、どーして効果があると思う?
意外と気にせずに飲んでるヤツも大勢いると思う。
学校で習うようなことでもないし、日本人は医者の言うこと聞いて黙々と出された薬飲むタイプの国民性だしな。
でも、考えると想像はついてくるかもしれん。
薬とは、化学物質に他ならない。
薬が体に効果をもたらすのは、化学的な反応が起きてるからだ。
化学的な反応とは?
ビビるな、とても簡単だ。
分子と分子がくっつくことを言うだけだ。
つまりは、薬の分子とターゲットになる分子がドッキングして、薬の効果を発生させているに過ぎん……。
水素と酸素を合体させたら、水分子が爆誕するっていうラッキー問題を中学校のテストで出された記憶もあるんじゃないか?
原子とか分子ってのは、くっつけやすい条件を整えてやると合体するんだよ。
これ、文字通りの合体な。
ほんとうに分子構造同士がくっついている。
どーして、くっつく?
そいつは一言でいうと、自然にくっつきやすい形状をしているからだ。
形だ。
そいつが最も大切なポイントだったりするぞ。
凹に対して凸だから、くっつける。
形状がはまりやすいことが、分子が成り立つひとつの条件だ。
もちろん、電子とかの数とか、細かなくっつきやすさを決める条件もあるけどな……。
でも、あれは基本的に小さな世界のハナシすぎる。
分子量がデカくなってくると、ターゲットにドッキングさせるためには、形も重要になるわけだ。
理想で言えば、ジグソーパズルのピースの断端みたいに、お互いがピッタリとハマる形をしながらも、断端に配置されてる分子同士がくっつきやすい性質があったらガッツリとドッキングするぞ!
ちなみに接着剤とかは、そんな理屈でくっつきやすさを強化しているな。
木工用ボンドさんは、木の表面の分子的なパズルにハマりやすい化合物だからこそ、木と木をくっつけている。
だから、金属用のボンドとしては、木工用ボンドは使えんわけだ。
表面の形状も違っているし、分子の構造が異なるからな。
分子間の結合能力という何だかSFを感じさせるパワーを、接着剤を使っているとき、私たちは体感しているのだ……。
さて。
本題に戻る。
薬が効果を発揮する理由は、ターゲットになる細胞とか、ばい菌の表面にくっつけているからだ。
くっつくと、どーなるか?
くっついた部分の機能を邪魔しちまう。
あるいは、破壊するぞ。
発熱を抑える薬は、発熱するための機能を持った部分や、あるいは発熱を起こすために連鎖するドミノみたいな流れにある部分を遮断するわけだ。
発熱機能を無理矢理にオフにしているから、熱が下がってるんだぞ。
熱が上がりすぎていると体に負担が強いときとかに使うのが本来の目的だな。
基本的に薬というのは人体の機能を一部オフにしちまう焼き畑農業的なもんだ。
咳が出るなら、咳を出すための仕組みそのものを無理矢理にオフっちまえば、咳がなくなる。
治す、というよりも、無くす、という概念が薬品の理解としては、より正しい。
さて。
人体に機能する薬さんは、そんなものなんだが。
ばい菌さんの場合は色々と仕組みがあるな。
ばい菌さんのくっついた人体の細胞に効果があるものもあれば、ばい菌さんそのものに効果を発揮するものもある。
分かりやすいのは抗生物質だ。
ばい菌さん、つまり細菌には強烈に効果がある。
何してるかというと、細胞膜っていう細菌さんを包んでる膜にくっついて、破壊している。
細胞膜に穴開けて、ぶっ殺しているわけだ、雑に言えばな。
パズルゲームとおんなじだ。
色やら条件をそろえると消えちまうなー。
現実はパッと消えるんじゃなくて、電子量変えて合体しやすさを変えちまったり、
栄養の伝達をつぶして細胞を餓死させたり、
Iの字型の分子にくっつくことによって、Cの字型に無理矢理曲げたりして、局所的に構造へ負荷をかけてぶっ壊していたりする。
……むずかしいか。
とにかく、薬ってのはパズルみたいに、くっつきやすいとこにくっつき、局所的に変化を強制してシステムをオフにするか、壊してるモノのことだ!
喉の細胞さんにくっつきやすい形をした分子構造だから、喉に効果を発揮しているわけだな。
薬が有効なのは、化学物質としての形状や質の変化を、ターゲットに対して起こしているから有効なわけだ。
……形が有効な理由を把握するためには、こんな事実もある。
薬には副作用ってのがあるよな?
この副作用って、どういうコトかと言えば、想定外の場所に薬品がドッキングしちまうことをいう。
喉の細胞にしかハマらないはずの形状をしていたら、フツーは喉にしかハマらないよな?
でも、現実はちょっとだけ複雑だ。
薬ってのは、実は体内で変形をつづけている。
たとえば、1~10段階の形があって、10の時に喉にハマる形になるようにデザインしているんだ。
どーして、段階を用意しているかというと、体の中に取り入れやすくするためだな。
じつは、薬効を持つ成分ってのは、ほとんどの場合で水に溶けない。
人間の体は水だらけだから、水に溶けて身体中に運んでもらうためには、薬品分子に色んな分子を継ぎ足して、水に溶けやすい性質に変えている。
薬は体内に入る、および、入ってからでも段階的に形状を変えていくものなんだよ。
だから、1~10段階みたいに過程がある。
副作用ってのは、たとえば7段階目の薬の形状が、想定外にハマったときのことを言うぞ。
10がハマるところにはハマらず、7にハマり、7の効果を出してしまうんだな。
10の効果しか欲しくなくても、別の効果を出す。
それが、副作用というもんだ。
薬ってのは、ターゲットにだけ効くのを作るのも苦労するが。
それをターゲットに運ぶための方法にも苦労する。
そして、多くの場合で、形や性質の変化を伴う段階を持っているから、副作用が起こるんだ。
……じゃあ、7とかの段階が無いようにデザインしたいとなるが。
化学変化って、かなり高速で行われる。
瞬間的に変化したりするものだから、体内に入れる前の1と、最終的な形の10を予測できてもだ。
その間の無数の段階と形状を予測しかねていた。
ただし、最近はそれも観測することが可能となってきている。
クライオ電子顕微鏡という、すぐさまノーベル賞もらった偉い発明があるんだ。
こいつは、分子の構造が変化していく様子を、凍らせて固定する。
今まで、スタートとゴールぐらいしか、じっくりと観測できなかったのだが。
こいつのおかげで、複数の段階に薬品の形状が変化していく様子も観察できるようになった。
体内でどんな経過をたどっているのかを、予測することが可能になったわけだな。
だから、7の形も見つけられる。
喉の薬なのに、ときどき鼻に副作用を出しちまっている理由がこれで分かるわけだな。
とんでもなくステキな発明だからこそ、ノーベル賞も即座にもらえたわけだ。
これまで副作用が強すぎて使えなかった薬たちは数多い。
アトピーが絶対に治るけど発がん性があるとかな。
そういう薬品も、副作用部分が起きないように、薬に科学的な飾りをつけてやればいいかもしれない。
7のところを、7'にでもするだけで、副作用を消せるかもしれん。
そーなると、今までお蔵入りにされて来た、パワフルな薬剤も使えるようになるかもしれんわけだ。
夢が広がるハナシだな。
薬って、連鎖するパズルみたいだろー?
段階と形状を予想して、分子構造を色々とくっつけてデザインしていくものだ。
スゲーおもしろそーだよな?
こういうこと、子供の頃に聞いていたら、本気で化学とかにやる気が出たんじゃないかと思っている。
パズルゲーとか得意な子って、数学得意なだけの子よりも、あんがい薬品の開発とかに向いてんだろーなぁ……とか近頃は思うぞ。
なんか流行りまくっているパズルゲーの法則性とかゲームのプレイデータを回収して、薬品の設計してるAIとかにぶちこんだりすると、通常の律儀な演算とかにない発見とかしたりするんじゃないかとかな。
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