【一万年と一千年前から愛し……い、生き続けている犬だと!?……わ、わんこの細胞には、とんでもねえヤツがいやがったあああ!!】


不老不死って一つの夢だが、細胞レベルでは不死になっているとまで言われる存在がある。


そいつは癌細胞だな。


人間の癌細胞にもヒーラ細胞ってのがある。


研究用に培養されている癌細胞なんだけど、採取されたのは1951年のことだ。


ヘンリエッタ・ラックスっていう黒人女性の癌細胞なんだけど、それから70年ぐらい経つなかで世界中の研究機関で培養されつづけている。


当人はとっくの昔に亡くなっているのだが、彼女の細胞は今もって世界中に広まって生存し続けているわけだ。


培養されてきた量はどれくらいになるのかは、もう正確には分からないが、少なくとも5000トン以上にはなるんじゃないかと言われているぞ。


癌細胞ってのは、それぐらい不死身な細胞じゃあるし、無限に増殖することが可能だな。


ヒーラ細胞はさまざまな医療の研究に用いられているため、ヘンリエッタさんの医学的な貢献はとんでもなく大きい。


たくさんのお薬が作られて、たくさんの人々を助けてくれた。


……まあ、じつは本人には内緒で勝手に培養されていた細胞なんで、倫理的な問題は色々とあるわけなんだがな。


自分が5000トン分も培養されて色んな実験されながら、お金で取引されているって思うと……ちょっと怖いかもしれん。


SF作品も真っ青な現実かもしれんな。


倫理的な議論をしてもおかしくないテーマではある。


さて。


本題だ。


わんこには変な病気があるんだ。


「伝染性の癌」だ。


わんこの癌には、わんこからわんこにうつってしまうという怖い病気がある。


そいつの名は、「可移植性性器腫瘍」という。


わんこの交尾で広まっていく癌だな。


ウイルスとかじゃないぞ。


こいつは「1万1000年前の犬の癌細胞」が増えて、わんこに取りついて増殖して、また他のわんこに取りつくことで生き抜いてきた、1万1000年前のわんこの細胞の末裔だ。


言い換えれば「1万1000年生き続けているわんこの細胞」とも言えるな。


……ヒーラ細胞もビックリの記録だ。


現存する癌細胞では最古のものだろうと言われている。


今でもこのわんこの癌細胞は、一部のわんこたちに取りついたままいるわけだ。


遺伝子の変異も長らく起きていないから、これから何百年か何千年かすれば淘汰されて消えるんじゃないかとも言われているけど、そうならないかもしれない。


わんこたちにとってはなかなか恐ろしい病気だな……。


だが、1万1000年生き続けているわんこの細胞があるというのも、不謹慎ながら面白い事実だ。


この癌の予防としても避妊手術が推奨されているが、欧米とか日本とかの裕福めの国以外だと今もって放し飼いの犬も野犬も多いから、そいつらのあいだにも脈々と受け継がれている。


ちなみに。


伝染性の癌がある動物には、タスマニアデビルもいるそうだ。


これは交尾じゃなくて、噛んだりすることで伝染しちまう。


タスマニアデビルにとっては、絶滅を招く危険がある怖い伝染性の癌細胞ってことになるな。


肉食性だしケンカもするだろうが、その度に癌細胞がうつってしまうリスクがある。


タスマニアデビルさんたちも、なんだか大変だな。


世の中には怖い病気もあるから、本当に健康には気を使うべきだ……職場に置いたトレッドミルで、私、歩くぞ……っ!


走らない。


走ると、しんどいから、走らない。


私の限界走行速度である時速3キロに設定したまま、スマホで小説とか書きながら歩くんだー……でも、今夜、きっとから揚げ食べちゃう……悪癖、治らんなぁ……。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る