【嘘だろ!?が、蛾の目玉のおかげで、お外でもPCのディスプレイがキレイに見えるだと!?】



生物を研究していく過程で得られた、優れモノの構造物は数々あるものだ。



数億年とかの自然淘汰が作り上げてくれた、環境に適用する合理的な特徴だからな。



上手いこと商品に合うと、なかなか優秀なアイテムが誕生しちまうってわけだ。



みんな、蛾とか好きか?



……私は、基本的に蛾は好きくない。



気持ち悪いだろ……?



もちろん、例外もある。



平成ガメラ3部作を愛してやまない特撮オタクでもある私としては、怪獣のゴジラは可愛いと思っている。



イモムシモードのときはキュートな感じがするし、成体モードはあれはあれでファンタジックだから可愛いよな!



魔法とか使っても許される、稀有なポジションの怪獣だから好き。



日本怪獣映画界には大切にして欲しいキャラクターだが……怪獣とか人気少ないから、もうあまり重宝されることもないのかもしれないと思うと泣けてくるわ。



まあ、モスラってのは蛾の中でもウルトラに可愛い『カイコ蛾』がモチーフだな。



カイコってのは知っているな?



あれだ、手触り抜群のシルク=絹を作ってくれている蛾のことだ。



カイコの幼虫が成体になるときに作った『繭』を、茹でて……糸として回収している。



カイコの吐いた糸で作った生地がシルクになるんだ。



ものすごくなめらかで、古代の時代から国際的な貿易品として人類の商業的な発達を支えたよな。



シルクロードとか聞いたことがあるはずで、聞いたことなかったら自分の無知について省みるべきなポイントじゃある……。



ちなみに、カイコ蛾はカイコの成体なんだが、真っ白でフワフワで、ものすごく可愛い♡



愛せる生物だ。



だが、ちょっと悲しいところもある。



カイコの成体って、弱すぎるんだな。



人類が大昔から家畜化してきた結果、自然に戻ることが出来なくなったしまった唯一の生物とも呼ばれている。



どれくらい弱いかと言えば、まず羽根があるけど『飛べない』。



脚の力も弱くて、枝とか葉っぱに取りつくこともできん……。



とどめに、消化器官も弱っていてゴハン食べられないから、餓死決定の状態だ。



……交尾して繁殖するためだけのモードだが、そのセッティングも人間が管理しないとできないわけだ。



人類に依存しきった蛾なわけだ。



ちょっと考えてしまうところもあるが、カイコの成虫はとても可愛いから女子でも検索してみてくれ!



人形みたいだと思えるだろう。



それぐらいのレベルで可愛いのだ。



……んで。



本題だ。



世の中にはモノ好きが多くいてな、蛾を研究する奴らもいる。



ちょっとした変態だよな。



お部屋とか見てみたいけど、怖いからやめとこう。



んで。蛾のお目目を研究していた奴らは発見した。



「こいつら、お目目がたくさんある上に、なんか……生えてる?」



蛾の目玉には、無数の小さな突起があったそうだ。



マジか、気持ち悪い……って、ドン引きしてそれ以上の研究を止めたりしないところが変態だよな。



変態こと学者は研究意欲をもって、「何で生えてるんやコレ?」というアングルで分析を始めた。



それで分かったことは、この突起があると「光を反射しにくい」ということだ。



夜空を飛んでる蛾にとっては、目玉に光が当たって、それを反射してしまうと……モノが見えにくい。



より光りを効率的に目玉に取り入れるために、蛾の目玉には小さな突起が生えていた。



……理屈?



……難しいけど、簡単に言うとこんな感じだ。



光りの反射は『差』があるところで起きる。



たとえば空気と水では、光を反射しやすさが違う(屈折率が違う)。



そういう『差』があるところだと、光がスーッとまっすぐ進んでくれずに、ムダにあちこち反射してしまう。



水でたとえれば、大きな川の先が、小さな川だったら?……あふれそうだよな。



実際にあふれる。



光もおんなじだ。



『通りやすさ』に差があれば、あふれちまうんだ。それが反射だな。



とにかく、反射ってのは『差』があるところで起きる。



これがあるから、太陽の光の下ではスマホの画面が見えにくくなってる。



室内の明かりでスマホやPCの画面が見えにくくならんのは光の質に差がないからだ。



どっちも人工的な光だからな。



でも、太陽の光は天然物で、電灯とはそもそも違う質の光だから『差』があって反射しちまいやすい。



そうなると見えにくくて困る……。



んで、反射防止のフィルターが使われているが、これには蛾の目玉の研究から分かったアイデアが反映されているものがある。



ナノサイズの突起がたくさんそのフィルターには生えているわけだ。



……理屈を説明するのは面倒だが、小さな突起の先端は空気と同じ屈折率になるが……徐々に太くなっていき、空気の屈折率から徐々に変わる。



フィルターのシート部分に近づくほど100%シートの材質と同じだから屈折率と同じものになっているな。



反射してしまう原因である『極端な屈折率の差』をなくすための構造だ。



大きな川を小さな川に導くために、じょじょに川幅を細めていけば、あふれにくかろう……というような発想になる。



あるいは冷たいプールに飛び込む前に、足とか胸にパシャパシャ水かけるよーなアイデアだ。



突起のおかげで、屈折率の差を緩やかにできている。



実際、このアイデアはモスアイ型の反射防止シートは役に立っているな。



お外のお昼でもPCやスマホの画面がちょっとだけ見やすくなっているのは、蛾の目玉=モスアイ構造の施されたアイテムのおかげなのだ。



女子ウケ最悪の虫である蛾だけども、シルクにせよ反射防止の構造にしろ、割と世の中の役に立っているから馬鹿には出来ん。



もちろん、モスラは可愛いしな!!



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