【あの魚はオス:メス比率、10:900!?は、ハーレムだけども、複雑な事情もあるんだああ!?】


ハーレムものって日本のみんなが大好きだよな!



私は純愛を提唱する可愛いタイプの子だが、需要があることは認めざるを得ない。



カワイイ女の子に囲まれて主人公の男とか、あるいは女の子がラブコメに巻き込まれる姿は微笑ましいものだな。



しかし、世の中にはリアルでガチなハーレムも存在しているぞ。



金持ちとかもそーかもだが、動物たちだな。



ゾウアザラシとか、数百のメスを囲ったりする。



ライオンもそれほどじゃないけど、ハーレムを作って生きている。



でも、そういうただれたハーレムではなく、週刊少年なんたらレベルで運営されるよーなレベルの、つつましいハーレム環境にいる魚もいるんだぞ。



ナニかというと、フナだ。



フナは日本中にいる魚で、そこそこ高い繁殖率とタフさを持っている魚だな。



自然でも20~30年、記録的な長寿だと50年ぐらい生きていたこともある。



川や池、農薬を使う田んぼにも行き来しても死なないレベルではタフ。



それにあまり外敵もいない。



ユーラシア大陸のあちこちにいる、コイ科のありふれたお魚さんだぞ。



私は川魚が嫌いだから食べないが、日本を含めて各国で食べられている魚でもある。



コイツら、じつはほぼメスしかいない。



といっても、環境要因で大きく変わるんだがな。



種類にもよるが、西日本ではオスとメス比は、ほぼ一緒だったりする。



でも、東日本だと10対900ぐらいのレベルでメスが多くなってしまう。



そっち、ハーレム環境だな?



男としてはうらやまーな状況か?



マンガだとすると共学化された元・女子校とかでありそうなワクワク環境かもしれん。



でも、フナさんとしてはちょっと複雑な恋愛模様になっているんだぞ。



どうやって繁殖しているのか?



ほぼほぼメスしかいないのに、子孫を作るためにはどーしているのか?



ハーレム作る動物ならオスが数十匹のメスと交配ってのもあるんだが、フナさんはちょっと事情が異なる。



他の種類の魚のオスと交配してるんだ。



ドジョウとかのオスも利用して繁殖してるな。



なんかもう、ちょっとフナの女子、ハチャメチャ過ぎるな……。



フナのオスが少ないからって、他の魚と異種交配っていう、週刊少年マンガじゃなくて、より大人向けの作風してるわ。



でも。



注意が必要なのは『雑種ではない』ということだな。



生まれてくるのはフナの遺伝子100%のフナのメスが生まれてくる。



卵子の活性化には精子を利用しているが(スイッチ入れるためだけのもんだ)、じつは精子の遺伝子は利用していない。



フナのメスは、自分の遺伝子100%の卵子を孵化させている。



つまり、フナのメスは自分自身のクローンを産み出していることになるわけだ。



フナの卵は減数分裂していないよーだ。



フナはクローンを自分で生んで増やせるから、同種のオスはいらないという生き物だ。



タフな生き物だよな。



個人的には少しばかり引くが、高性能で優れている。



自分のクローンを増やしまくっているフナの女子たちだが、遺伝子の多様性とかはどーなんだろうという課題もある。



だが、結果的には問題なく反映しているわけだ。



フナについては遺伝子の種類の少なさがもつリスク(特定の病気にかかりやすいとかな!みんな同じだと、自分にキラーなタイプの病気流行ると全滅する)よりも、



自前のタフさが環境リスクをはねのけているよーだ。



フナのオスを使った場合の繁殖よりも、かえって生存成績が良かったりもする。



まあ、長年の観測データじゃないだろうから、100年分とか集めると結果が違うかもしれんが。



この繁殖方法はとりあえず成功をおさめているわけだ。



フナのオスを大量に放流したりする環境破壊実験をすると、何年かすると比率が変わるかもだがな。



お金かかるし、得るもん少ないし、やらないだろうがな。



野生のオススメ比いじって日本人が得したもんなんて……ない、とは限らんのが世の不思議か。



鶯谷とかは、上手く行ったパターンだな。



大昔、鶯谷のウグイスは鳴くのが下手だったそーな。



京都からやって来ていた皇族の坊さまが、京都のウグイスを大量に鶯谷に放った。



そうすると、ウグイスの鳴き声が良くなったという逸話がある。



鳥のさえずり(繁殖期にオスがメスを誘う鳴き声だ)は学習で変わる。



オスを増やしたことで競争が上がったのと、京都風の歌も鶯谷のウグイスたちに伝わったのかもしれないな。



それ以後、ウグイス名所となったわけだ。



ちなみに。



フナより身近でスゲー繁殖方法をしているのがゴキブリだ。



ヤツらを私は嫌っているが、ヤツらのメスの繁殖能力のタフさはちょっと脱帽だぞ。



ゴキブリはオスがいなくても増える。



フナのよーに他の種類のオスを必要ともしない。



メスさえいれば、自分のクローンをガンガン増やしていく。



減らんわけだな……。



まあ、魚やら虫やらの繁殖方法は変わっている。



働き蜂とか、女王の劣化クローンだぞ。



遺伝子を少し減らして作った、娘や姉妹よりも自分に近い存在で、ようするに劣化クローン。



サメにも単独で繁殖した個体がたまにいる。



動物界の繁殖って、オスは要らない種もいるんだよなあ……ハーレム漫画ほど、甘いハナシではないわけだ。

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