豚は家畜として愛されているな。

食べれば美味しい。

古代から食用の家畜であると共に、日本においては豚＝デブみたいなイメージがある。

だが、ヤツらの体脂肪率は１５％ほどだ。

成人男性の平均が１５～２０％、女性の平均は２０～２８％だ。

つまり豚は太っているどころか、平均の中でもやや痩せているほうに属している。

豚はデブではなく、かなり筋肉質だ。

たとえば、比較対象として丁度いいのは和牛だな。

和牛の体脂肪率はお察しだろうが、豚よりもはるかに高い。

霜降り肉とか言えば聞こえがいいが、中性脂肪のことだからな、アレ。

和牛の体脂肪率は２５～３０％、家畜のなかでもかなりの脂身野郎というわけだ。

デブとして使うべきは豚ではなく、牛の方なのだ。

……ふむ。

もう完結したな。

だが、これで終わるのもつまらん。

家畜の脂は、かなり研究されている。

食事や食習慣をデザインすることで、たんに太らせるだけでなく、人為的に『脂質異常』を起こさせているな。

病的と言えばそうだが……。

脂は多くあるだけでは、ぶっちゃけ食肉の評価を上げにくい。

たとえば、あまりにも肉から脂が落ちやすければ？……煮込んだりした時、肉から脂が無くなり過ぎて、肉が脂分スカスカになって不味くなる。

それだけじゃなく、スープに脂が溶けすぎてギトギトでマズいことにもなるな。

だから、調理された時に、人間にとって都合が良いような脂の質になるよう、エサの種類と食事のタイミングを計画し、脂肪の質まで調整しているんだ。

……家畜って、想像以上に人工的だよな。

私、この事実を知ってから、ちょっと食べ物に関する価値観がズレたわー。

まあ、気にせず食べろ。

家畜の肉は美味しいぞ。

人類の叡智が詰まっているんだ！努力と根性と経験値が作り出した、科学の味だぞ！

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