第3話 同級生の秘密
次の日、バイトが休みだった俺は、高校からの友達である
大学内を歩いていると、偶然、発見した。
「あれ?
そう、
「やっぱりか!」俺の目は間違いじゃなく、正しかった。
そう思ったら次の疑問が生まれた。
『なんでアイツは、桜花学園高校だったことを隠すのか…?』ということだ。
クラスが違うし、全く面識がないから俺のことは知らないのは当然だが、さすがに高校は忘れるわけねぇだろ。「おい!平良!!何ボーッっとしてんだ?」その声で、我に返った。「ごめんごめん」と返しながらも、俺の中に新たなモヤモヤが生まれただけだった。
マンションに戻る道でも、あのことが頭から離れない。直接聞いてみるかとも思ったが、さすがに唐突すぎるか…。そんなことを考えながらエレベーターに乗り込み、自分の部屋の階のボタンを押す。
エレベータに乗っている時も考えるのは同じこと。エレベーターは、どこの階にも止まらずに俺の部屋の階まで直行した。チン!という音と共にエレベーターのドアが開く。部屋に続く廊下をトボトボ歩いていると、ドアが開く音がした。その音に反応して、顔を上げると開いたドアの先には、
「おっ…」と自分を押し殺して隅の方に身を潜める。一瞬、『俺何やってんだ』という素朴な疑問も浮かんだが、すぐに忘れた。ずっとアイツの方を見ていると、アイツと一緒に1人の男が出て来た。年齢は…そう、俺よりも少し年上のような雰囲気で、スーツを着ているサラリーマン風の装い。
なんか楽しそうに話して、抱き合う。驚いたが、『あ〜、海外から帰国して間もないからそういう習慣を持った人なのだろう。』その答えで驚きはおさまった。すると、次の瞬間、サラリーマン風の男がアイツと手をつないだまま、自分の方にアイツを引き寄せると同時に、キスをする光景が目に入った。
人間、言葉を失うとはこういうことなのだろう。初めて見た衝撃の瞬間だった。俺は、その場から動けずしばらく身を潜めた。誰かの足音がこちらに近づいてくる。俺はすかさずスクッと立ち上がっていた。
ふと自分の部屋の方を見ると、こちらを見てサラリーマン風の男を見送っているアイツと目が合う。アイツの目が大きくなったのがわかったから、あくまで平常心を保っているようだった。サラリーマン風の男がエレベーターに乗り込み、ドアが締まる。エレベーターが下りたと同時に、俺は駆け出していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます